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2006年05月12日
小児科医不足
昨日のこと、地元の新聞社「新潟日報」の記者の方が取材に来られました。各地で小児科医が不足して、小児救急などが十分ではないと問題になっていますが、当地の様子について興味をもっておられるとのことでした。
以前もこの日誌に書きましたが、上越市の中の「直江津地区」では、ある病院が移転し、医療環境が大きく変わりました。もう一つの病院の小児科は、現在は週2回の外来診療のみしか行っていません(それも今月いっぱいで終了するとのこと)。私の他に小児科の開業医はいません。つまり、小児科の病医院は私のところだけになってしまいました。
小児科の患者数は、その時々の感染症の流行によって大きく変わるので一概には言えませんが、4月からの混雑ぶりは予想をはるかに超えています。GWの連休がすぎ、やっと余裕をもって診療できるようになってきましたが、それまでは患者さんにとっても、私たちスタッフにとっても“殺人的”といっても過言ではないほどでした。
季節はずれのインフルエンザの流行や、例年以上のウイルス性胃腸炎の流行などもありましたが、それにしても患者さんが多かったです。その原因のいくらかは、やはり他に選べる小児科がないという事情が生じていることにもあるように、日々のお母さん方との会話を通して感じています。
多くの患者さんが来て下さることは、私と私の医院をある程度信頼していただいているのだと感謝していますし、嬉しく思っています。でも、やはり患者さんが集中しすぎると、診療に支障を来してくることもあります。待ち時間が長くなりますし、一人あたりの診察に要する時間も切りつめざるをえません。入院をお願いできる病院も少ないため、できるだけ外来で処置などを行うことになりますが、それもスタッフの忙しさを増すことになります。
ニュースでは日本全国で、過重な労働から体調を壊して仕事ができなくなったり、自殺をした小児科医がいたり、“燃え尽き症候群”となってリタイアしていった小児科医もいるなどと報道されています。頼みの綱である新人も、研修医時代に小児科医の忙しさを見てしまうと、敬遠する傾向があるのだとか。これでは悪循環です。
私自身はまだ元気に小児科医を続けていける自信がありますが、それでも一人の小児科医のできることはどこかに限界があります。そう思うと、この春の「外来狂騒劇」がこのまま続いてしまえば、どこかでそのしわ寄せがくるかも。あるいは「臨界点」を超えてしまうと、何かがおきてしまうかも・・
そんな不安も抱いているということを、新潟日報の記者の方に率直にお話をしました。とりとめのない話だったので、なかなかまとめられないかもしれませんね。あるいは、そもそも記事として読者の方に伝えるべき内容なのかどうかも、よく分かりません。もし記事になれば、その時はご紹介をしますので、お楽しみにしていて下さい。
投稿者 tsukada : 2006年05月12日 22:06
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