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2006年05月23日

小児救急の解決のために

 小児救急の体制については、日本中で大問題になっています。今日の夕方見ていたローカルニュースでも、新潟県の事情がレポートされていました。主には県庁所在地である新潟市のことが取り上げられていました。ここには急患センターがあり、小児科医が常時いて、24時間・365日の小児救急の診療体制が作られています。ここで軽症患者を中心に診療していますが、こういった体制ができているのは全国でもトップレベルだとのこと。

 そうはいっても、本来重症患者を中心に診るべき大病院に、軽症の小児患者も訪れていて、小児科医の重労働の問題や、重症患者に対応できなくなる問題なども指摘されていました。こういった問題は、そのレベルと問わず、全国どこにでも起きているようです。

 もう一つ問題があって、それは新潟市が周辺市町村と合併して広域化していることと関係しているようです。以前は旧・新潟市だけを対象にしていれば良かったけれど、市が大きくなって、その分だけ多くの患者さんが来院されるようになってきた、ということのようです。これまでも小児科医の献身的で犠牲的な協力で維持していた小児救急の体制では不足になってきているとのこと。なし崩し的に患者数が増えれば、どこかで臨界点に達して、今の体制が突如崩壊する、などということもあるかもしれません。これからどうしていくべきか、しっかりみんなの知恵を出し合って行かなくてはいけない時がきています。

 国は少子化対策を推進するとして、児童手当の増額を予定しているそうです。20〜30代の子育て世代には、それ以上の世代に比べて所得が少ないのは事実です。それが少子化問題につながっている、という側面もあるでしょう。だからといって、児童手当という名前のお金を配るだけで事足りるというのは、いかがなものでしょう。この世代全体の所得を増やすような改革をするのが、政治の役割でしょう。それを放棄してしまっていいのでしょうか。

 でも、もしかしてこういった政策が功を奏して、子どもの人口増につながるかもしれません(それはなかなか無理なようには思うのですが)。そうなったときに、小児救急の問題はいったいどうなるのでしょう。今私たちが直面しているのは、「子どもが少ない」ためにおきているわけではありません。「少ないけれど」起きている問題です。もし小児人口が増えれば、小児救急の問題はさらに深刻さを増すことになります。

 つまり、今国が考えていて、みんなの頭に中にイメージされつつある少子化対策だけでは、子育ての困難さは解決されない。それどころか、より大きな問題に進展してしまうことになりかねません。小児科医は疲弊し、小児救急を受け入れる医療機関はさらに少なくなり、そして子育てはますますしにくくなってしまいます。それは、いずれ国を危うくすることにつながっていきます。そうなってしまっては手遅れです。

 そんな意味でも、今日本中でおきている小児救急の問題を、しっかりと見つめなおしてほしいと思っています。

投稿者 tsukada : 2006年05月23日 22:46