2006年05月29日
熱中症
強風にたたられた週末でしたが、今日は休み明けで嵐のような外来でした。冬場に多いウイルス性胃腸炎もまだ流行しているというのに、手足口病、ヘルパンギーナなどという“夏かぜ”も見かけるようになってきました。全国的にはプール熱(咽頭結膜熱)も大流行しそうだとか。夏場は小児科医にとっては“閑散期”のはずなのですが、今年は事情が違っているような予感もしています。どうなるのでしょうか。
暑い日が多くなると、熱中症が心配になります。案の定、昨日生後2か月の赤ちゃんが、駐車場に放置された自動車の中で死亡するという事故が起きてしまいました。両親ともパチンコ店に入って遊んでいたのだとか。数時間も車内に置いておくとは、いったい何だったのでしょう。熱中症云々の問題以前に、生後間もない赤ちゃんをほおって置くこと自体が、よく理解できない行動です。あきらかに育児放棄(ニグレクト)であり、乳児への虐待です。
きっとお腹をすかせて泣いていたことでしょう。おむつも汚れていやな気持ちでいたに違いありません。泣いても誰も応えてくれず、あやしてもくれません。もちろんおっぱいやミルクも与えてもらえません。赤ちゃんだから何も分からない、なんてとんでもありません。辛い気持ちで何時間も過ごしていたに違いありません。そして、きっと熱中症になり、泣くこともできなくなり、そしうて意識が薄れていったのでしょう。そのあとは呼吸も弱くなり、心臓の動きも次第に止まっていき、一人さびしく、誰に見守られることなく、温かい胸で抱かれることもなく、命を失ってしまいました。
この両親は逮捕されたそうです。不注意で起きた事故ではありません。虐待事件としてきちんと捜査し、辛くて孤独な中で死んでいった赤ちゃんの無念さを分からせてほしい。処罰をすればすむとは思っていませんが、赤ちゃんの死を軽く考えてはほしくありません。
投稿者 tsukada : 2006年05月29日 22:53