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2006年06月06日

ボーダーの時代

 このところ、日本中を騒がす大きな事件がたてつづけに起きています。それらの犯人や関係者のことをよくみていると、何らかの人格障害、あるいはパーソナリティー障害があるのでは、と思われるケースが少なくありません。

 昨日のこの「院長ブログ」にも書きましたが、秋田県の男児殺人事件の容疑者もそうでしょう。自分の娘も事件にも関係しているのかもしれないとも想像されますが、彼女の言動は、常識的な範囲を大きく逸脱しています。自己中心的な性格は、そうとう偏っていて、病的だと考えざるをえません。

 多くの作品を盗作していた画家もそうです。彼が“共同で仕事をしていた”とするスーギ氏の作品と比べ合わせれば、彼の作品が紛れもなく盗作であることは否定しようがありません。でも、彼はいまだに盗作ではなく、自分のオリジナルだと主張しているとのこと。嘘に嘘を重ねているというよりも、おそらく彼の頭に中では、自分は盗作をしていないと思っているのでしょうね。だから、恥ずかしげもなく、マスコミの前で大見得をはることができているのでしょう。これも、立派な人格障害ではないかと思えてきます。

 この事件では、彼の主張とスーギ氏の主張を一緒に聞かないといけない、などとする話もありました。文化庁もそう言っていたようですし、マスコミの一部にも、彼が提供したスーギ氏からの「手紙」などをもとに、あたかもスーギ氏にも問題があるかのような話も出ていました。彼の友人だという作家の森村誠一氏もそんな話をしていました。確かに「公平に」話を聞くこと自体は大切でしょう。でも、その前にすでに事実は明らかになっています。彼が描くより先に、同じ構図で、類似の絵が他の作家によって描かれていることだけでも、あとで描かれた絵にオリジナリティーがないのは明らかです。

 もし泥棒が捕まっても、自分はやっていない、と言えばすぐに逃がすでしょうか。物的証拠や証人によって、その犯行が裏付けられれば、それは単なる言い訳として扱われるだけです。盗作云々では、もう少しデリケートに対応すべきでしょうが、今回の事件は、恥ずかしいほどにデリケートさに欠けていました。素人目にも明らかなことです。

 そんな事実を示されても、それでもまだ自分の主張を変えようとしない・・もし変えてしまうと、自分の存在そのものが脅かされると思っているかのようです。いや、おそらく彼はそこまで思い詰めているのでしょう。だから、必死になって同じことを言い続けています。周囲からは何と言われようと、自分の考え方や見方しか存在しないのですから。

 嘘をつくなら大きな嘘をつけ。繰り返し嘘をつけば、いずれ周囲は、もしかしたら自分たちのほうが間違えているのかも?と思い始め、嘘があたまも真実のようになる・・そんな格言(?)もあるとか。ヒットラーもその戦術で国民を戦争に駆り立てていきました。このヒットラーも、境界性人格障害(ボーダー)だったということです。

 少し前に「騒音おばさん」が社会問題になりましたが、あの人も典型的な境界性人格障害の思考様式をしています。今、テレビに良く出てくる人たちの一部に、やはり同様にパーソナリティーの障害があると思える人たちがいます。常識から極端に離れた考え方をするので、ある意味で魅力的ですし、テレビ受けします。でも、こういった人たちの言動が当たり前だと思われてしまい、簡単に受け入れられるようになってしまうことで、その人たちの言動で傷ついた人たちが救われません。逆に、自分たちのほうが問題だったのかも、などと自らを責めてしまうことも、常識的な人であれば起こりえます。そうなってしまうと、二重に苦しめられることになります。

 話がだんだんと違う方向にずれてきましたが、今の社会の中で、健康な精神を持ち続けることがとても難しくなってきている・・昨今の事件や事象から、そんなふうに感じています。

投稿者 tsukada : 2006年06月06日 23:03