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2006年06月09日

殺人シャッター!?

 先日来「殺人エレベーター」が問題になっています。私のいる新潟県のある小学校でも、同じようなことがおきました。誤作動で動き出した防火シャッターにはさまれて児童が重症をおう事故です。火災警報装置の点検中に起きました。放課後の体育館で遊んでいたところ、急に防火シャッターが閉まり始め、あわててその下を通り抜けようとしたけれど、背負っていたランドセルがひっかかり、この児童は首を挟まれ、意識不明になったようです。幸い翌日には声を出すくらいまで意識が戻ってきたということですが、完全な回復を祈るのみです。

 点検に先立って、防火シャッターが動き出さないようにそのスイッチを切ってあったということですが、実際には動き出しています。火災の警報装置といい、防火シャッターといい、人や財産を守るためだけに作られ、設置されているもの。それがこのような事故をおこしてしまっていることは重大な意味があります。

 また、場所が小学校だということも問題です。そこは子どもたちが安心して過ごせる場所。それなのに、こんな事故がおきてしまうなんて、子どもたちが何を信頼し、信用すればいいのでしょう。事故の直接の原因はまだ詳しく分かっていませんが、これは天災ではなく人災です。あるいは、事故ではなく「事件」だといえるかもしれません。

 同様な事故は過去にもおきていて、やはり学校で子どもたちの命が奪われています。誤作動によって重いシャッターが降り始めることは論外ですが、本当の火災時に防火シャッターが正常に作動したときにも、このように子どもが挟まってしまう事故は起こりうることです。そのような時に、シャッターが凶器にならないように安全策を講じるのは、当然といえば当然のことです。

 昨年に建築基準法が改正され、新しく設置する場合や、大規模な改修をする場合には、安全装置のついた防火シャッターを設置するのが義務になりました。でも、以前から設置されているものに対しては、法的にはそのままでもかまわないとされました。法的にはそれでいいかもしれませんが、安全装置が付けられていない防火シャッターは危険だと認識されているわけですから、学校現場でそのままにしていてよいなどと考えることは“異常”なことです。予算が必要などという話がすぐでますが、それは言い訳にもなりません。

 文部科学省は昨年、学校現場での点検を指示する通達を出したのだそうです。くだんの学校のある教育委員会では、通常の法的検査(3年に1度)を受けているから問題なしとしたとのこと。勝手な解釈をするものです。法的な検査だけでは不十分だから、緊急に点検をせよという通達が出ているのにもかかわらずそれを無視するのですから、お役所が見ている先に子どもたちの姿はないようです。

 でもその「点検」で問題なしとなっても、子どもたちを守れるわけではありません。先ほどもふれたように、誤作動は起こさなくても、火災時には作動するわけですから、子どもたちの安全がまもられるためには、機械の交換しかありません。そのために必要なお金がいくらかかるか分かりませんが、日本の経済のことからいっても、そして何よりも子どもたちの命を守るためからも、けっして高いものではないはずです。

 もし、旧来の機種をそのままにしておかなくてはいないようなら・・防火シャッターの下部50センチほどのところに、それ以上降りないようなストッパーを付けることを提案したいと思います。横のレールのところに金属でも木でもいいですから打ち付けてしまえばそれで完了でしょう。素人の日曜大工でもできそうです。もっと簡易には、イスか机をシャッターの下に固定しておくだけでもいいかもしれません。

 この方法は、完全な防火にならないわけですから、きっと消防法違反でしょう。ですから短期間の緊急回避的処置です。可及的速やかに(なんとお役所的な言い方でしょう)新しい防火シャッターと交換することが条件です。法令に違反することを意識することで、予算執行も早くなることでしょう。

 日本中の学校で、子どもたちの命が危険にさらされていることを、現場の教師たちも実感してほしいです。「子どもたちを守るために、早くシャッターを交換しろ!」と教育委員会などとやりあう気概のある“熱血教師”はいないものでしょうか。

投稿者 tsukada : 2006年06月09日 20:31