2006年07月11日
何が彼を怒らせたのか?
サッカーWカップ決勝戦での“頭突き事件”は、意外な展開になるかもしれません。現象としてはフランスのジダンが試合中に相手選手に対して暴力行為を働いたというシンプルで分かりやすいもの。それも、全世界が注視しているなかでの出来事ですから、覆い隠すこともできません。
昨日の院長ブログでもとりあげましたが、その中ではフランス国民ががっかりしていることだろうと書きました。ここは少々違っていたようですね。今日のニュースで流れているフランス人のインタビューでは、「ジダンだから仕方ない」「これくらいでは決勝戦に導いてくれたジダンの評価は変わらない」といった声が多いようでした。むしろ「ジダンらしい」という話もありました。実際にパリに戻ってからのジダンへの歓迎ぶりは、それを証明しているようです。
もう一つ分かってきたことは、相手選手の言動です。どうもジダンに対して、屈辱的なことを言っているようです。ジダンはイタリアにいたことがあり、イタリア語が分かるのだそうですね。そして、自身の両親がアルジェリアからの移民であり、イスラム教徒であることから、どうもこういった宗教的、または民族的蔑視の言葉が相手から出てきたようだと指摘されています。
確認されたものではありませんが、一部の報道ではジダンに向かって「テロリスト売春婦の息子」と言ったとか。本人たちはまだことの真相を明らかにしていませんが、相手選手はジダンを侮辱する発言をしたこと自体は認めているようです(テロリスト云々の話は否定していますが)。
今回の発言が、単に個人的中傷であれば(それも問題ではありますが)、当人同士の「大人の解決」ですむでしょう。しかし、発言の内容が彼の宗教観をけなすものであったり、人種発言であったりした場合には、とても大きな問題になってしまう可能性があります。個人間のトラブルではすまず、宗教、民族、人種、国家・・いろいろなところに火種が飛んでいきそうです。
本当は何があったのか、それを明らかにすることも必要ですが、ことの性質からはその発言をそのまま流すことは、二次的な誹謗中傷にもなりかねません。ことは慎重に行う必要があるでしょう。でも、隠しだてるものではありません。むしろきとんと総括し、人種差別などのトラブルがこれまでも多く起きていたといわれている世界サッカー界を浄化する必要はあります。なにしろ次のサッカーWカップ2010年は、南アフリカで行われるのですから。これを契機に、民族や人種の間のわだかまりが一掃されている方向に進んでいくことを期待しています。
投稿者 tsukada : 2006年07月11日 21:37