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2006年07月27日

読売新聞の取材

 今日は読売新聞の記者の方が取材に来られました。テーマは「病児保育」。当院に併設されているわたぼうし病児保育室が先月で5周年を迎えたこともあり、これまでの取り組みや今後のことについて記事にしたいということでした。

 取材に来られたのは上越に先月赴任されてきたまだ若い男の方。奥さんとお子さんは東京においての単身赴任なのだそうです。共働きをしながら子育てをされているとのことで、開口一番「病児保育はほんとうに必要なんですよね!」とおっしゃられました。いつもの取材では、まず先に病児保育の意味やその意義・必要性についての説明をすることが多いのに、今日はそんな“前口上”は一切不要。いきなり本題に切り込んで来られました。こんな取材はとても嬉しいですね。ついつい私の思いを熱く語ってしまいました。

 わたぼうし病児保育室の利用者の方で、こんな例もありました。ご夫婦とも大学の教員の方が就職先を決める際に、インターネットを使って全国の病児保育をしている小児科を探しだし、その中で子育て環境もしっかりしているということで、上越市に決められました。かわいい双子のお子さんを育てながら、市内の大学にお勤めになられました。今春、他の大学への就任が決まり、上越をあとにされましたが、わたぼうし病児保育室があったから二人で仕事をすることができたと、とても感謝されていました。

 そんな実例も記者の方にお話をしました。ご自身もいろいろと体験されているとのことで、病児保育の必要性をさらに実感してもらうことができたようです。

 回復期の「病後児」保育は各地で行われるようになってきていますが、それ以上に急性期の「病児」保育の方が重要であり、その必要性が高いことについても、記者の方と共通に認識になりました。わたぼうし病児保育室の例でも6割は急性期の病児ですし、親御さんが対応に困るのも、この急性期です。数日して回復期になっていれば、親御さんも休みをとれたり、遠くの祖父母に来てもらうなどの対応もとることができるようになり、病(後)児保育の必要性は必ずしも高くはありません。

 しかし、問題は急性期の病児保育を完璧に行う方法です。その日にならなければ利用するお子さんが決まりません。「定数」に縛られたら、お断りしなくてはいけないこともおきてしまいます。私たちは「絶対に断らない」と大きなポリシーにしています。利用希望児が多ければ、医院のスタッフを投入して対応する用意をいつもしています(昨年、1日あたり18人の利用児のいた日もありましたが、無事乗り切るとができました)。保育園で発熱したなどのお子さんも、途中入室はいつでもOKです。これまでの5年間で、一人もお断りすることなく預かったことは、私たちの誇りでもあります。

 利用者は毎年増え続け、今から2年前に専用の園舎を新築するにいたるほどであることもお話ししました。全国の統計を見ていても、わたぼうし病児保育室の利用数(昨年度はのべ1,350名、一日あたり5.6名)は全国のトップレベルになっています。特別に上越市が病児保育の必要性が高いことはないはずです(おそらく都市部の方がもっと切実な問題になっているでしょう)。それなのにとても多くの方に利用していただいているのは、やはりきちんとした病児保育の体制を作り、信頼されるようになってきたからなのだと思っています。

 記者の方が、こういった取り組みが全国で「面」として広がってくるといいのに、とおっしゃっていました。本当にそう思います。当院がいくら頑張っても、日本全体から見れば、小さな「点」にすぎません。「わたぼうし病児保育室」と名付けたように、ここでの試みが日本中にどんどん広がり、あちこちで花を開かれていくことを、これからも期待していきます。そんな思いを持っておられる小児科医などがおられるようでしたら、どんどん応援していこうと思ってもいます。

 記者の方は夕方にもう一度来られて、利用されている親御さん方から直接お話をお聞きになっていました。きっとしっかりとした内容の記事になるのではないかと思います。掲載された時にはご紹介しますので、どうぞお楽しみに。

投稿者 tsukada : 2006年07月27日 22:50