« DVDの“再生” | メイン | 大日向雅美先生です »

2006年10月02日

もう一つの「再生」

 昨日は「再生」の話を書きました。普通にDVDを見る機能としての「再生」(play)と、傷ついてもう見れなくなったDVDを直してもう一度見られるようにするという意味の「再生」(recover、repair)をかけていたのですが、分かりましたか?(誰からも反応がなかったので、自分でネタばらしをしました)。今日はさらにもう一つの「再生」の話です。

 こんどはCDのタイトルに使われている「再生」です。今、私の目の前に置いてあるCDがそれ。と言っても皆さんに分かるはずはありませんね。松山千春が今春にリリースしたアルバムです。

20061002

 これは千春がデビュー30周年を記念した出したアルバム。2枚組で、その1枚が昔の(!)曲のカバーになっています。彼がカバーをするのは、おそらく初めてでしょう。もともと自分の作った歌以外には、まず歌うこともありませんし、アルバムに入れることもほとんどありませんした。それがいきなりのカバーです。ちょっととまどってしまったというのが、正直なところでした。

 全部で10曲入っています。「別れのサンバ」(長谷川きよし)は私も大好きな曲。盲目の長谷川きよしが、ギターをひきながらさみしげに歌う様子が、すっごくかっこよかったです。「雨が空から降れば」(小室等)は、ギターを弾くきっかけになった曲。「私たちの望むものは」(岡林信康)では、岡林の思想性が近寄りにくく、でもできれば近寄りたく思い、もどかしく思っていた思い出があります。

 そんな往年のフォークソングは、松山自身が今でも自分はフォークシンガーと言っているように、同じ時代に生きていた証のようなものを感じているのだろうな、などと勝手に想像しながら聞いていました。もちろん、私の若かりし頃と同時代の生き証人のような曲と人間たちです。

 「どうぞこのまま」(丸山圭子)、「さようならをするために」(ビリーバンバン)が出てくると、ちょっとまた雰囲気が違ってきます。突っ張っていたころの千春だったら、こういった曲を歌うことはおろか、存在さえ認めないのではなかったのかな、などと思ってしまいます。「妹」(かぐや姫)、「卒業写真」(新井由実)とくれば、もう完全に路線が違うのでは。

 そんな曲も、でも千春は歌うようになりました。むしろ、昔の“名曲”ではあるけれど、いつの間にか歌われず、忘れ去られようとしている曲たちを、もう一度よみがえらせたい、あるいは、別の新しい命を吹き込んであげたい。そんな思いを持ったのでしょう。

 デビューから30年がたち、松山千春もかわってきたのかもしれません。どこかで少し丸くなってきたのでしょうか。自分と、自分の生きてきた時代を振り返るようになったのかもしれません。そんな千春の“成長”を、ちょっと寂しく思ってしまう一面もありますが、彼は彼。これからも自分の道を歩き続けていくことでしょう。

 ということで、今日の「再生」は、古き時代の名曲を再生させるという話でした。でも、もしかしたら千春自身の「再生」? それとも・・失った髪の「再生」だったりして(^_^;) おっと、フォーク界の大御所に大変失礼なことを言ってしまいました。どうぞお許しを。

【緊急告知】小児精神科医の明橋大二先生が、明日(3日)のお昼のTV番組『笑っていいとも』に出演されます。先生には、昨年の「上越子育てフォーラム」の講師をしていただいたご縁があります。著書『子育てハッピーアドバイス』は第3巻まで出版され、今やベストセラーになっています。そんな先生に、お母さん方の子育ての悩みをぶつけて、答えてもらおうという企画のようです。半分はお笑いになるかもしれませんが、でも先生のお話を聞くことができるなんて、嬉しいです。火曜日のレギュラー企画のようです。まずは明日のお昼に、テレビをご覧になってみて下さい。

投稿者 tsukada : 2006年10月02日 23:39