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2006年12月12日
県内でたった4か所
狂犬病が問題になっています。日本では過去数十年、国内での発生がないことから、狂犬病のことをすっかり忘れてしまっているようです。しかし、海外で感染し、発症・死亡する日本人が出ていることから、あらためてその恐ろしさを感じているところです。
日本では飼い犬に対して狂犬病の予防接種を義務化したことから、今のところは(!)狂犬病にかかっている犬などはいないと思われています。でも、こういった国は、日本以外にはイギリスなど、数カ国しかありません。それらの国に共通しているのは「島国」だということのようです。他から地理的に隔絶していることが、狂犬病をコントロールする要因になっています。
それ以外の国々には、狂犬病は普通に存在しています。年間で数万人の死者がでているようですし、犬などの噛まれたあとに緊急にワクチン接種を受ける人たちは世界で年間に1,000万人を超えているという事実もあります。
日本から海外に出かける人たちは、できれば狂犬病の予防接種を受けてからにした方が良いというのは、自明のことです。とくに東南アジア、中近東、アフリカなど、人間の居住地に多くの犬が放し飼いにされている地域では、狂犬病になってしまう可能性が少なくありません。あらかじめワクチン接種を受けておけば、万一、犬にかみつかれても、普通に消毒をするだけですむでしょう。
破傷風には特効薬はありません。そして発症すると、ほぼ100%死亡します。これまでに後遺症を残さずに治った人は、ほんのわずかだそうです。(ギネスブックに載るほど珍しいのだそうです。)
では狂犬病の予防接種を、きちんと受けることができる体制ができるいるかというと、どうもそうではないようです。当院では10年ほど前からワクチンを常備し、海外に赴任される方やそのご家族に方など、希望される方に接種を行ってきました。今ももちろん、ワクチンを在庫しています。
そんなふうにしている医療機関が多いものと思っていましたが、実はそうではないんですね。今日、保健所に確認をしたら、新潟県内で狂犬病予防接種をしているのは当院を含めて4か所だそうです。あまりに少ないのに、ビックリしています。上越市では当院だけでした。
予防接種についても、当院ができるものは何でも行ってきました。要望があれば、数が少なくても必ず行ってきました。それが地域の皆さんの健康をあずかる医療機関として当然の姿だと思ってきたからです。
でも、「当院の常識」は「日本の医療の常識」ではなかったんですね。もちろん、どちらが「常識外れ」なのかは、言うまでもありませんが。
こんなことで、日本人の健康を守ることができるのでしょうか。冬の入り口で寒い日が続いていますが、今日はいちだんと寒々としてきました。風邪をひきそうです・・
投稿者 tsukada : 2006年12月12日 21:50