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2006年12月18日

少年写真新聞

 「少年写真新聞」をご存じですか?  よく小学校などで大きく張り出してある新聞です。私が小さい頃からあったように思いますし、子どもがまだ小さくて小学校に通っていたときにも時々見かけていました。懐かしいですね。

 その「少年写真新聞」に私も多少関係することになりました。これから風邪やインフルエンザの流行する時期になるので、「発熱」について特集した記事を監修してほしいという依頼です。

20061218

 もうすでにできあがって、小学校に配布されています。子どもたちにも分かりやすく作ってありますので、みんなが見て、役立ててくれるといいなと思っています。

 同じ会社が学校の養護教諭などを対象に「小学保健ニュース」を発行していますが、それにも執筆を頼まれました。「発熱」についてです。これも理解しやすく書いたものです。以下に掲載しますので、このHPの読者の方も参考にして下さい。

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  子どもの発熱とその対処
        塚田こども医院・塚田次郎

 子どもは風の子・・いや「風邪の子」です。乳幼児期より少なくなったとはいえ、学童期も風邪をはじめとして、いろいろな感染症にかかるものです。

 子どもの感染症は、その多くが熱を伴います。とくに冬場に必ず流行するインフルエンザはその代表です。ここでは発熱時の対処について、今一度確認をしてみましょう。

●寒気があれば温かく
 感染症における熱は炎症反応がおきた結果、脳の体温中枢が刺激され、体温設定が高くなることによっておきるものです。体温のセッティングが高くなると、次に熱を産生するために筋肉がふるえ、熱を逃がさないように体の表面の血行は少なくなります(「悪寒」)。この時は顔色が悪く、手足が冷たく、時にはガタガタと細かく筋肉をふるわせ、本人は「寒い」と訴えます。寒気のある時には温かくしてあげて下さい(飲み物は温かく)。

 体温が上がりきると楽になります。その後、炎症反応がおさまると体温中枢は平熱に戻そうとします。体内の余分な熱を放散する必要があるので、血管が広がって血行が良くなります(顔色が赤くなり、手足が熱くなる)。本人は「暑い」と訴えます。汗をたっぷりかきますので、水分も十分にとらせて下さい。

 クーリングは昔は氷嚢、今は保冷剤などを使うことが多いようですが、余分な熱を逃がすには全然足りません。一番良い方法は手足など、広い範囲の皮膚をひんやりした状態にすること。もちろん「寒い」と言っている時はまだ温めておく必要があります。

 高熱がでてもそれだけで重症とは限りません。本人の様子が楽そうで、水分などがある程度とれているようなら、ゆっくりの対処で大丈夫でしょう。

 その反対に、ぐったりしている、顔色がすごく悪い、うわごとを言っているなど、全身状態が悪い時には病状が重いかもしれません。もちろん、けいれん、意識障害、繰り返す嘔吐、強い頭痛などの症状があれば、緊急事態と考えて下さい。

●心も温かく
 これからの季節は、学校にいる途中で具合が悪くなり、保健室を利用する児童が多くなります。子どもは親と離れていることもあり、とても不安な気持ちでいることでしょう。養護教諭は不安な子どもの心を思いやってほしいと思います。温かく言葉かけをし、手も握ってあげて下さい。そうすると寒気があるかどうかも分かりますが、何よりも子どもの不安感を優しく包み込み、和らげてあげられるはずです。

 つらいようなら背中をさすってあげましょう。それが「手当て」の本来の意味であることを思いおこしていただければ幸いです。

  (「小学保健ニュース」2006年12月8日号、少年写真新聞社)

投稿者 tsukada : 2006年12月18日 18:12