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2007年01月08日

日本は「会社主義」

 税金はできれば払いたくないと思うのは、心情でしょう。「脱税」は違法行為ですし、してはいけませんが、何かうまい方法があって、税金を安くすませる「節税」ができるのであれば、できれば取り入れたいと思うものです。

 よく野球選手が、自分の会社を作っているという話を聞きます。日本では「会社」のほうが個人よりも税額が少なくなるようなのです。

 ある大手予備校の方からお聞きした話です。そこでは講師はそれぞれの会社を作って、その会社との間で契約を結んでいるのだそうです。雇用関係にはなく、講師の給与や待遇などを心配する必要はないとのこと。

 生徒たちから人気があって、教え方のうまい講師はよりたくさんの授業を受け持ちます。それはその講師の作っている会社とそのような契約をすることになります。

 もし、人気のない講師で、予備校側がもう授業を持ってもらわなくていいと判断したら、その講師の会社と契約を更新しなければ、それだけですみます。これが個人として予備校に雇われている関係であれば、「解雇」するわけですから、経営者側にはそうとうハードルが高いのですが、「会社」との契約ですから、煩わしいことはありません。

 でも、この講師にしてみると、長期にわたる安定した関係ではなく、とても不安定な境遇です。直接雇用しているのは自分で作っている会社ですから、その経営も、予備校との契約が切れてしまえば、それで収入はなくなります。

 予備校から直接雇用されているのであれば、ある程度身分は安定しますし、何かトラブルがあったときにも、被雇用者として補償されるでしょう。病気やケガなど、業務上のことであれば労災扱いになったり、休業手当などもあります。

 しかし、会社を通しての関係では、それらはなくなります。自分の会社が自分を雇っているようにもみえますが、おそらくは「事業主」として会社を作っているでしょうから、失業保険も労災保険も関係ありません。契約が切れて収入がなくなったら、その後を保障するものは何もないのです。

 一時の「節税」だけから判断したのでは、果たしてどちらの方法が良いのか、分かりません。個々の野球選手や予備校講師にとっては、会社を作った方が有利だったという人も出ているでしょう。でも、全体として考えると、こういった制度を上手に利用しているのは、経営者側だといえるのではないでしょうか。

 こんな話をしたのは、「ホワイトカラー・エグゼンプション」にも、同じような危険性があるからです。管理職の会社員に対して、残業代を支払わなくても良くするだけではなく、その働き方についても自己責任を求めるということは、実態としては、それぞれが自分の会社を持つようなものではないか、と思うのです。

 病気をしようが、ケガをしようが、それも全部自己責任。業績が悪くなれば、その責任をとって解雇するのも簡単になるでしょう。何しろ「結果を出す」ことだけが、その人の評価の基準になるのですから。

 与党の中でも、こんな制度を導入したら、サラリーマンから支持をえられないという意見が出始めています。今年の夏前には参議院選挙があるから、それまではそっとしておいて、その後、どんと国会に出すつもりのようです。そんな子どもだましのような手には、乗りませんよ!

(追伸)今日は新潟県の小児救急電話相談事業のお当番日でした。休日の夜7時〜10時に、子どもたちの急病やけがなどで、親御さんが心配な時はどうぞ電話をしてみて下さい、という事業です。まずは担当の看護師が電話にでて、ご相談を受けます。それで解決する場合が多いのですが、看護師がさらに小児科医のアドバイスが必要だと思ったときに、それを受ける役割です。県内全体で数十名の小児科医が担当しています。1年ほど前から始まり、私は今日で確か4回目。何件かの問い合わせがあり、看護師に指示をしました。さきほどそれも終了。あとは連休明けになる明日の診療に備えて、ゆっくり休ませてもらいます。

投稿者 tsukada : 2007年01月08日 22:13