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2007年01月11日

モラルを失った人たち

 このところ、政治家の事務所経費が問題になっています。本来家賃の発生しない議員会館に事務所を置きながら、年間で数千万円もの「事務所費」を計上しているという問題です。

 他の事務所の経費を付け替えたり、飲食費などの費用を「事務所費」にしたりしているようです。「事務所費」は領収書の添付が必要ないということなので、「知られたくない金」はここに入れてしまっているのでしょう。そのためにすでに大臣を辞めた人がいるくらいですから、政治家としてはその資格にかかわる重要な問題です。

 現職の大臣でも、数人が問題視されています。例えば文部科学大臣の伊吹氏は飲食費を含めていることを認めています。それだけですでに法令違反。さらに、内容を明らかにせよというマスコミからも求めに対しては「法律上、内容を開示しない内容しない経費なので、法律に順守しているとしか言えない。聞かれ始めたら(答えるのに)収拾がつかなくなる」と答えているそうです(今日の新聞報道から)。

 おかしなことを言う人です。法令では「事務所費」については領収書をつけなくても良いといっているだけで、その内容を明らかにしてはいけない、などとはあり得ない話。正しい会計をしているのであれば、どうしてその内容を明らかにできないのでしょう。やはりやましいことがあるのだと、推測せざるをえないですよね。

 「収拾がつかなくなる」とはいったいどういったことでしょう。会計の資料をきちんと公開すれば、伊吹氏についてはそれで終わりでしょう(氏の言っているように、正しい処理をしているのなら)。おそらく問題にしたいのは、自分が会計内容を公開するという「前例」を作ってしまったら、他の議員に迷惑をかけてしまうことをおそれているのでしょう。同じようなことをしている議員が多数いることを知っているから、そんなかばうような発言をしているのだと思います。

 これが私たち民間人であればどうでしょう。個人事業でも法人でも、その経理の内容をはっきりさせないですむ、などということはありません。年に一回は税務署に会計を報告します。その中には細かな内容は添付しないけれど、会計資料は5年間の保存が義務づけられ、税務当局から求めがあれば、それを全て提示することになっています。

 もし内容を明らかにできないものがあれば、それは経費として認められないでしょう。「使途不明金」として、その分に対しても法人税が課されますし、それが所得隠しなど、悪質なものとみなされれば重加算税も払わされるかもしれません。(企業の意図的な「使途不明金」は、政治家に渡っているのだと思っていますが、どうなんでしょう)

 民間と違って、政治家にはとても甘い制度ですね。何しろ自分たちで法律を作っているのですから、こんなずるいことは平気でできるのでしょう。

 政治家は普通の国民や、普通の企業よりももっと高貴なモラルを求められるものだと、私は思いますが、そんなのは絵に描いた餅なのでしょうか。最初から求めてはいけないものなのでしょう。政治家を十把一絡げにしてはいけないのかもしれませんが、イヤな人たちを見てしまったようで、後味が悪いです。

 もっとも、日本中でモラルの喪失が問題になっています。そんな国も代表者たちですから、モラルを持ち合わせていなくて当たり前なのかもしれません。せめて私たちは、国会議員の姿を見て、我が身を振り返ってみましょう。そして「政治家のようにだけはなりたくない」と思うことも大切だと思います。

投稿者 tsukada : 2007年01月11日 21:20