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2007年03月31日

インフルエンザ流行

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 当院で集計しているインフルエンザの患者数です(毎週、保健所→県→厚生労働省へ報告)。

 2月上旬から急激に流行が始まり、2月下旬には大規模な流行になりました。3月いっぱいは大流行が続いていました。3月末になり、やっと減少傾向です。

 春休みに入ったこともあり、インフルエンザ流行はようやく峠を越えそうです。

投稿者 tsukada : 13:00

2007年03月28日

つぼみ

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 このところ忙しさにかまけて、自然のものをゆっくりと眺める余裕もありませんでした。家の前の桜を見上げたら、ちゃんとつぼみがふくらみだしていましたよ。

 桜の開花まで1週間を切ったようです。来週には別世界が広がります。楽しみです。
 

投稿者 tsukada : 18:28

2007年03月27日

インフルエンザとけいれん

 東京の桜は少しずつ花開いているようです。当地の開花予想日は4月3日、あと1週間ほどです。華やかな景色を、心待ちにしています。

 もうすぐ桜の季節だというのに、まだインフルエンザに悩まされています。インフルエンザは冬のものというのが相場。冬と春が混在してしまって、季節感が分かりません。「冬と春の融合」「冬と春のコラボレーション」・・。そんなしゃれている場合でもありませんね。

 学校や幼稚園が春休みに入ってきたので、少しインフルエンザ発生が少なくなってきている印象です。このまま峠を越えてくれるといいですね。

 インフルエンザに伴って熱性けいれんをおこすお子さんが続いています。

 昨日は、待合室で診察を待っている間にけいれんをおこした女の子がいました。看護師がすぐにかけつけ、診察室に連れてきました。すぐにけいれんは止まり、検査をするとインフルエンザの反応あり。しばらく様子を見ていましたが、脳症などの問題はなく、インフルエンザの高熱が引き起こした単純型熱性けいれんだと診断しました。

 この子にとっては初めてけいれん。お母さんもさぞ驚かれ、心配してことでしょう。「医院にいる時で良かったね」と話したら、お母さんもうなずいておられました。

 今日は、夜間に2回のけいれんを起こしたお子さんを診察しました。やはりインフルエンザによる熱性けいれんでした。当院の時間外電話相談に電話し、必要な指示をもらっていましたが、初めてのけいれんを目の当たりに見ながら、冷静に対処されていた親御さんには、敬服しています。

 私は立場上は小児科医ですが、家で自分の子を見るときには「親」の立場にもどってしまいます。急に高い熱がでたり、吐いたりすると、大丈夫なのか、やはり不安になります。(この症状はこの程度だから、まだ様子を見ていていいはず)などと、自問自答しながら子どもの世話をしていました。親御さんの不安に思う気持ちは、良く分かります。

 今週は保育園の卒園式が続いています。年長さんたちは、無事に卒園を迎えられていますでしょうか。来週は小学校の入学式も控えています。大切な時期です。体調の悪いお子さんも、早く治るといいですね。

投稿者 tsukada : 23:59

2007年03月26日

能登半島地震

 昨日おきた能登半島地震は、とても大きな被害が出ています。ニュースで現地の様子が次第に明らかになるにつれ、地震のこわさを改めて感じています。

 ここ新潟県上越市でも震度4の揺れが襲いました。大きな横揺れが続き、立っていられないほど。幸い自宅も医院も、物が落ちたり壊れたりという被害はほとんどありませんでしたが。

 余震もまだ続いていて、当地でも時々体に感じる揺れがあるほど。きっと現地は大変な状況なのだろうと思います。

 3年ほどまえ、新潟県でも中越地震があり、やはり大きな被害が出ています。完全な復興には至っていないようなのですが、これほど短期間に、すぐ近くでまた大きな地震がおきてしまいました。

 よく「天災は忘れた頃にやってくる」といいますが、地震はそうではないようです。まだまだ記憶に新しいのに。やはり日本は「地震大国」なんですね。

 危機管理としての災害対策を、もう一度見直さなくては、と思っているところです。現在は、インフルエンザ大流行という「自然災害」と闘っている真っ最中なのですが。

 被害に遭われた方々、まだ避難生活をおくっておられる人たちが、一日も早く元の生活に戻れることを心より祈っております。

投稿者 tsukada : 23:36

もう一つの落とし穴

 学校が春休みに入ってきたためか、今日の外来は多少は落ち着いてきました。それでもまだまだインフルエンザが多く発生していることに変わりありません。今週でピークを過ぎてくれることを願うばかりです。

 インフルエンザ診療の「落とし穴」について、昨日の「院長ブログ」に書きましたが、まだ他にも注意をしておかなければいけないことがあります。タミフルの副作用報告についてです。

 医薬品の使用によって、健康上の不都合な現象が生じた場合には「有害事象」としてメーカーに報告することになっています。それらの中には、医薬品が副作用として関係しているものもあれば、必ずしもそうではない場合があります。副作用として何が問題なのか、その医薬品を使用するにあたってどんなことに注意をしていく必要があるか、などは、その後のデータの集積やその解析によってなされていきます。

 タミフルの場合には、インフルエンザそのものが精神神経症状を出しやすいために、その分析はそうとう困難です。そして、マスコミ報道などが大々的にされたため、多数の「副作用情報」が寄せられることになります。もはや、その数だけで「タミフルの副作用がこれだけ多く発生している」とはいえない状況になってしまいます。

 タミフルなどの抗インフルエンザ薬が、インフルエンザの経過をそうとう軽症化しているのは確かです。とても有用性の高い医薬品です。もし完全に使うことができなくなってしまったら、それもまた困った状況といわざるをえません。

 実際に10歳代のインフルエンザ患者の治療をどうするればいいのか、現場の小児科医は困惑しています。代わりに使用できるリレンザ(吸入薬)は、すでに品薄です。メーカーにも問屋にも、在庫はないようです。使いたくても使える薬がないとなると、対症療法でいくしかありません。

 今回の騒動から、「タミフルは怖い薬」「使ってはいけない薬」というイメージが作られてしまいました。でも、そのために必要な薬を必要な人に使うことができなくなるとしたら、それもまた大いに問題です。

 いささか「場外乱闘」気味になってしまったタミフル騒動ですが、医学的な検討をきちんと行うことができるように、冷静に見守っていただきたいと思っています。そうしないと、もっと大きな「落とし穴」に陥ってしまうかもしれません。

 新型インフルエンザの世界的な流行も、もしかしたら目前にせまっています。その時に、タミフルは重要な治療薬であり、予防薬であるのですから。

投稿者 tsukada : 23:03

2007年03月25日

落とし穴

 当面の処置として10歳代には使用中止になったタミフル。「異常行動」がタミフルの副作用だけでおきているということであれば、それでもいいかもしれません。しかし、心配は続きます。

 インフルエンザとは、症状が全身にかかわり、とても強烈な感染症。合併症として、熱性けいれん、熱せん妄、意識低下などの精神神経症状をともないやすいものですし、時には脳症をおこしてしまうことがあります。

 問題になっている「異常行動」が、もしかしたらインフルエンザそのものからおきている可能性も否定できません。それがどの程度の割合であるのか、一つひとつのケースを精査する必要があるのですが、残念ながら過去にさかのぼって原因を究明することは困難です。

 タミフルが一定の割合で関係していることは確かのようですから、今後、タミフル不使用によって「異常行動」出現の頻度が減少してくれることが期待できます。しかし、問題もあります。

 タミフルを使わないということで安心してしまっていると、インフルエンザのお子さんがまたトラブルをおこしてしまうかもしれません。リレンザを使用しても、あるいは抗インフルエンザ薬を全て使用しなくても、インフルエンザそのものによる精神神経症状は起こる可能性があるからです。

 そこに大きな「落とし穴」があることを、知っていてください。

 やはりインフルエンザは怖い感染症。しっかりと治るまでは、お子さんの様子をよく見ていてあげてください。少なくとも発熱中の急性期は、お子さんを一人にしておくことのないように、十分注意をしていてあげてください。

投稿者 tsukada : 23:59

2007年03月24日

インフルエンザ発生状況

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  当院で集計しているインフルエンザの患者数です(毎週、保健所→県→厚生労働省へ報告)。

 2月上旬から急激に流行が始まり、2月下旬には大流行になりました。3月下旬に入ったのに、まだ峠を越えていません。

 終息するまでまだしばらくかかりそうです。十分に警戒をしていて下さい。

投稿者 tsukada : 13:34

タミフル

 タミフルのことではご心配をおかけしております。服用後に異常行動が現れることがあり、中には家から飛び出し、重大な事故に巻き込まれた事例もあったということです。

 こういった異常行動がタミフルの副作用によるものではないかと考えられていますが、そもそもインフルエンザという病気が全身性の強烈な感染症であり、精神神経症状をだしやすいものです。

 日本では抗インフルエンザ薬であるタミフルをとても多用しているため、タミフル服用後に異常行動をおこしている例が多発しています。しかしそれがインフルエンザそのものの問題であるのか、タミフルの副作用なのか、タミフルが悪化させているのか、など、きちんと調べていく必要があります。

 タミフルが絶対に安全だとは言えませんが、逆にタミフルのみが問題だいうことも、即断できない状況です。

 先日より10代のインフルエンザ患者さんへのタミフル使用は中止するように、厚生労働省から指示が出されました。さっそくそれに基づいた対応をしています。もう一つに抗インフルエンザ薬であるリレンザ(吸入薬)に変更したり、対症療法だけで経過をみたりしているところです。

 9歳以下のお子さんには引き続きタミフルを使用していることが多いのですが、何か事故がおきないか、心配をしています。インフルエンザの発症から2日間程度が一番問題のようです。お子さんから目を離さず、何か異常なことがあったらすぐに対応し、大きな事故に結びつかないように注意をしていて下さい。

投稿者 tsukada : 12:40

2007年03月22日

産経新聞

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 昨日の産経新聞に掲載された記事です。

 写真がカラーなので、ちょっとビックリ。肩書きに「わたぼうし病児保育室併設」と入れてもらったので、嬉しいです。

 どうぞお読み下さい。

【4歳になる娘のことで相談です。昨年末に嘔吐を繰り返すようになってしまい、脱水症状などで入院することになってしまいました。病院では「自家中毒」だと指摘されました。自家中毒とはどのような病気なのでしょうか。その少し前に私は第二子を出産し、妹が誕生したのですが、そのことが原因なのでしょうか。今後、どのように娘と接していったらいいのでしょうか。26歳主婦、東京都】

 「自家中毒」は「周期性嘔吐症」とも言われ、胃腸などの病気がないにもかかわらず吐きやすいお子さんに対して使われています。

 2〜6歳くらいの幼児におきやすく、心理的なストレスで吐くこともあり、繰り返しおこすのが特徴。やせ型で、どちらかというと神経質な子が多いようです。

 症状が軽い時には、甘い飲み物を少量ずつ飲ませることで良くなります。しかし嘔吐回数が多く、顔色を悪くし、ぐったりして全身状態が悪いときには点滴治療が必要です。時には入院になることもあります。
 自家中毒は心身の成長にともなって次第に軽快していくので、ことさらに心配することはありません。ただ、心因性の要因が強い場合には、お子さんの心理状態や家族関係についても解決していく必要があります。小児精神科などでご相談下さい。

 お子さんの場合には、妹の誕生により赤ちゃん中心の生活になったことが関係しているかもしれません(家族内の「主人公」の交代)。

 赤ちゃんの面倒をお父さんにお願いして、上のお子さんと二人だけの時間を過ごしてみて下さい(一緒の入浴、本読み、就眠、散歩など)。「自分は大切にされている」と実感することが、子どもの心を安定化し、成長につながっていくものです。いずれ自家中毒も解消していくことでしょう。

 これを機会に、お子さんとの関わりや家族のあり方をもう一度見直してみてはいかがでしょう。

投稿者 tsukada : 08:23

2007年03月21日

工場爆発

 昨日夕方、当院のある上越市で大きな爆発事故がありました。信越化学工業という化学品製造工場で爆発がおき、数時間にわたって火災が続いたというものです。全国ニュースでも報道されていました。

 当院からは数キロのところにある工場ですし、当院のすぐ近くに労災病院がある関係で、夕方から外が騒がしい気配がしていました。休み前の外来なので、6時過ぎまで目一杯仕事をしていましたので、気に留めずにいたのですが、外来が終わってネットを開いてビックリ。すぐ近くで事故がおきていることを知りました。

 その後テレビをつけると、詳しい状況を伝えていました。映像も流れています。火の手と煙が見えていました。地元のケーブルテレビではライブ映像を放映し、NHKや民法放送はそれぞれヘリコプターからの映像を伝えていました。

 工場の従業員17名が負傷し、その半数ほどが重傷。そして3名が重体だとも言われています。病院で集中治療を受けていることでしょう。容態が心配です。

 爆風で家屋に被害が出ているようですが、それでも周辺の一般住民に被害がなかったことは不幸中の幸いかもしれません。現場から半径100メートルの範囲の方は自主避難を求められたとのことですが、健康上の問題もとくに出てはいないようです。

 この工場のある場所は、市街地から離れていて、周囲は大きな工場がいくつもあるところ。でも、全くの工場地帯ではなく、その周囲に住宅もあります。通常はおきないはずの事故なのかもしれませんが、ひとたびこのような事故がおきてしまうと、危険なものが私たちの生活環境のすぐ近くに存在していることを思い知らされます。安全管理には万全であってほしいものだと痛感するしだいです。

 負傷された方々の、一日も早いご快復をお祈りしております。

投稿者 tsukada : 01:58

2007年03月20日

名残雪

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 今朝の新潟は、すっかり冬に逆戻り。雪が降って、真っ白になっています。

 明日は「春分の日」。でも、春はどこにいったんでしょう。

 週間天気予報を見ると、明日以降は雪マークはないようです。お天気は少しずつ回復してくれるようですね。今朝の雪景色は、今冬最後の見納めになるのかもしれません。

 今年の「名残雪」になるのでしょう。そう思うと、ちょっと寂しくなります。

投稿者 tsukada : 09:20

2007年03月18日

ブル(>_<)

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 今朝の写真です。3月も後半というのに、またまた雪景色。どうしちゃったんでしょう。

 ここ高田公園では、雪囲いはすでにはずされています。4月に行われる観桜会の準備も始まり、春を迎える準備を整えているところ。それなのに・・。

 日曜の朝、寒くて目が覚め、寒くてまたお布団に戻りました。

投稿者 tsukada : 08:42

2007年03月17日

今週も・・

 今週もインフルエンザの流行に振り回された一週間でした。当院での発生数は先週とほぼ同じ。それまでの増加傾向はなくなりましたが、大流行が続いているのは確か。早く減少に転じてくれることを、心から願っています。

 インフルエンザが流行すると、私たち医療従事者は繁忙を極めます。受診者数が増加するのが第1の理由。普段の数倍もの患者さんが一挙に訪れることもあります。訪れる患者さんをお断りせず、すべて診療するのが私たちの務めです。

 インフルエンザの患者さんは高熱でぐったいしているなど、重症度が高いことが多いです。また、熱性けいれん、脱水などを併発し、診療の内容もより高度で濃厚になる傾向もあります。

 スタッフの仕事量も増大しますし、緊張感や疲労度も高くなってしまうものです。体調を悪くする職員もでてきてしまうのも、仕方ないこと。中には、インフルエンザにかかる者もいます。仕事中はずっと「インフルエンザ・ウイルスのシャワー」を浴び続けているわけですから、当然といえば当然かもしれません。

 でも、インフルエンザの流行が終わるまで、頑張り抜くことでしょう。私たちが大変だということのは、それだけインフルエンザでつらい思いをしている子どもたちがいるからです。

 子どもたちに、また笑顔を戻ってくれることが、何よりも嬉しいこと。子どもたちの明るい表情を見ることが、小児科医院に勤める職員にとって一番の励ましにもなります。

 それにしても、インフルエンザの流行はいつになったら終わるのでしょうね。“強がり”を言っても、やっぱり疲れ気味なのは確かですから・・。

投稿者 tsukada : 23:53

2007年03月16日

原稿できました!

 今日は依頼されていた原稿の締め切り日。正午がその期限だったので、実質的には今朝までに仕上げておく必要がありました。

 いつもながら、頼まれ事をしても、直前になるまで動き出さない“習性”があります。1か月くらい前に頼まれたものですから、これまでそれなりの時間があったはず。でも、できあがったのは昨夜遅く。今朝医院へ早くいき、もう一度手直しをしたり、私の顔写真を添付したりして、それからメールで送りました。

 インフルエンザが流行していて外来が混んでいたから、とか、大切な会合があったから、などという言い訳はいくらでもでてきます。本当はするべきことを「先延ばし」していただけなのに。

 メールにして送信したあとは、急に緊張がとけたような気持ちになりました。睡眠不足もあるのでしょうが、体に力が入らないといった感覚です。自分の身体感覚がしっかりとせず、どこかうつろで、でも多少は達成感もあるという、へんてこな状態がしばらく続きました。こんな感じ方をしたのは、初めての体験でした。

 依頼してきたのは『産経新聞』。社会面に「聞いて効く」というコーナーがあり、「自家中毒」とは何かというご質問に答えてほしいというものでした。今月21日付け紙面に掲載され、HPにもアップされる予定とのこと。ぜひご覧になってみて下さい。

投稿者 tsukada : 23:43

修学旅行の顛末

 今週は修学旅行に出かけた中学生が多かったようです。先日の「院長ブログ」にも書きましたが、インフルエンザの流行と重なり、不幸な経験をしたお子さんも少なくありませんでした。

 直前にインフルエンザにかかり、参加を断念してもらった中学生・・もうすっかり良くなっていました。ドクターストップをかけたわけですので、恨んでいたかもしれませんね。頭では不参加の理由が分かっても、気持ちはまだ穏やかになっていないかも。いずれは分かってくれるときがくるでしょう。

 修学旅行の初日に発症し、翌日“強制送還”になった子もいました。親御さんが迎えにいかれたのでしょう。受診時には高熱になっていて、しっかりインフルエンザにかかっていました。

 宿泊先で発熱した中学生もいました。とりあえず診察を受けていますが、その時はインフルエンザ検査で反応なし。でも、帰省して当院に受診した時は検査は陽性。つまり、やはりインフルエンザでした。このお子さんは、最後までみんなと一緒にいられたようですが、本人もその周囲も大変だったことでしょう。

 3月中旬と言えば、西日本では初春といったイメージがあります。修学旅行にはとても良い季節なのでしょう。でも今年はおかしな気候が続いています。今のほうが、1月や2月よりも雪が降り、寒さも厳しいような印象です。

 そこに“季節外れ”のインフルエンザ大流行。今年に限っては、就学旅行も時期を間違えてしまったようです(その責任が学校にあるという意味ではありません)。

 来週には3学期が終わりになってきますので、インフルエンザの流行も峠を越えてくれるのではないか、などと淡い期待を抱いています。そして、もうこれ以上流行させないでもいいでしょう、インフルエンザ・ウイルスさん! 何とかしてちょうだい!!

投稿者 tsukada : 23:28

2007年03月15日

ウンチの色は大丈夫?

 先日の小児科勉強会での成果の続報です(といっても、私はただ聞いてきただけですが)。

 「先天性胆道閉鎖症」という病気をご存じでしょうか。肝臓で作られた胆汁は、胆管という管を通って小腸に流れるようになっています(途中に胆嚢という、胆汁をためておくところもあります)。この胆汁の通り道=胆道が、生まれつき閉じてしまっていて、胆汁が流れていかない病気のことをいいます。

 そのままにしておくと、黄疸が強くなり、肝臓も固くなって肝硬変になっていきます。生後数か月でどんどん進行し、一度肝硬変になってしまうと、元の肝臓に戻ることはありません。

 治療は手術のみ。肝臓の一部と小腸を直接接合し、胆汁が流れていくようにする手術を行います。問題なのは、手術のタイミング。できるだけ早く見つけて、早く手術を受ける方が治る率が高くなります。そのタイムリミットは、生後60日。

 生まれたすぐの赤ちゃんは、胎児の時の赤血球がすべて壊れて、新しい赤血球に入れ替わります。そのための黄疸が生後すぐから始まり、数週間で落ち着いてきます。これは「生理的黄疸」と呼ばれる普通の状態。通常は生後1か月くらいで黄疸は落ち着いてきます。

 それに対して胆道閉鎖症の黄疸は、このころからさらに強くなっていきます。胆汁が体外に出て行かず、体内に蓄積されていくからです。生後2か月くらいまでには手術をしたいわけですから、生後1か月くらいで見つけることがベストということになります。

 胆汁が小腸に流れ出ると、便の色がいわゆるウンチ色になります。薄めの黄色から濃い緑までがその色です。胆汁が出ていないウンチは、白に近くなるのが特徴。そのため、ウンチの色を見てもらうと、胆道閉鎖があるかどうかを、ある程度知ることができます。

 生後1か月の赤ちゃんは健診を受けていますが、生まれた産婦人科で、産婦人科医が行っている場合が少なくありません。できれば小児科医に赤ちゃんを診させてほしいのですが、そうなっていないことも多いようです。診察をし、必要に応じて検査をすることで、赤ちゃんの黄疸の原因を知ることができるのですが、小児科医以外では不安があるというのが、正直な感想です。

 そこで出番になるのが、ウンチ色の観察です。お母さん方は毎日、赤ちゃんのウンチを見ています。その色が、白に近い場合には、早急に小児科を受診するようにしてもらおう。そのために指標になる「ウンチ色の見本」を作って、配布するという事業が、一部の県や市で以前から行われています。

 新潟県でも新年度から、カラー印刷の「ウンチ色見本」を母子手帳にはさみこむことになりました。これによって、先天性胆道閉鎖症の赤ちゃんを早く見つけ、早く手術し、長く生きてもらえるようになるのではないかと、期待されているところです。

 先日の勉強会では、このシステムのことなどが紹介されました。その翌日、さっそく市の担当課から「ウンチ色見本」を取り寄せたところです。当院でも生後1か月の赤ちゃんを検診していますが、ウンチ色の観察についても、お母さん方にお話をし、赤ちゃんの健康管理や病気の早期発見などのために役立てたいと考えているところです。

 インフルエンザ大流行がまだ続き、「破壊的な忙しさ」の診療を毎日行っていますが、そんな中でも勉強し、それを診療に役立てるようとするなんて、偉い! (誰もほめてくれないので、自分でほめておきます)

投稿者 tsukada : 23:59

2007年03月13日

水泳パンツにご用心

 開業小児科も、ときどき勉強をしています。今日は地域の小児科医の集まり。定期的に集まって、病気のことを学んだり、予防接種や医療制度について情報を共有したりしています。

 こういった会は「参加することに意義あり」。他の先生方の話を聞いているだけで、ずいぶんと役に立つものです。いわば「耳学問」。

 今日の演題の中で、興味深いものがいくつかありました。その一つが「海水パンツのインナーメッシュによる小児陰茎部皮膚損傷」でした。海水パンツのはいた男の子のペニスが、メッシュの穴の中に皮膚が入り込み、大きく浮腫んでしまったというものです。

 メッシュの大きさが問題のようです。2、3ミリ以上の大きさがあると、そこに皮膚が入り込んでしまい、その“根っこ”の部分を締め付けてしまうというのが、このトラブルの機序のようです。

 2年ほど前にユニクロが、販売した男子用水泳パンツを回収したことがありました。その原因が、この問題だったようです。そのほかのメーカーも同じような事故を抱えていたとのこと。そのため、最近は穴の小さなものをインナーに使うようになり、新しい水泳パンツでは、こういったトラブルは起きてはいないようです。

 しかし、以前に発売したものや、外国から輸入されたものの中には、危険性のあるものが残っているようです。お子さんの水泳パンツについて、大丈夫な物かどうか、一度確認してみてください。

 こういった問題が起きていることを、私自身は知りませんでした。私の不勉強のためかもしれないのですが、国やマスコミできちんと取り上げて、一般の消費者や、治療が必要になったときに担当する小児科医などにその情報が伝えられていないようにも思います。

 商品にトラブルがあったとき、その商品を回収したり、直して新しい商品を開発することも大切です。そして、その情報を適切に開示し、広く知らせることもより大切になってくることなのでしょう。これからの社会のあり方を示しているようにも思いました。

※他にも大切な内容がありましたので、明日以降の「院長ブログ」でさらにご紹介することにします。

投稿者 tsukada : 22:12

2007年03月12日

断念する勇気

 3月中旬というのに、真冬のようなお天気。外は雪が降り続いています。今年一番の積もり方です。

 これまでもこの時期にこの程度の雪が残っている年はありました。でも1月、2月にほとんど降らず、春のような日が続いたあとに、冬に逆戻りしたかのようなお天気は、初めての経験です。

 実際、すでに春の花粉症は始まっていて、スギ花粉はそうとう飛んでいるのに、外は雪景色なんて、全くへんてこなお天気。今はいったい冬なのか春なのか。春に向かっているのか、それとも冬に向かっているのか。頭の中が整理つかなくなりそうです。

 春の就学旅行シーズンにもなっています。雪国の子どもたちは、だいたい温かいところに行くことが多いので、気候の点ではそれほど心配はしていません。でも、インフルエンザが・・。

 季節外れ(?)に大流行しているインフルエンザが、学校の行事にも影響を与えています。卒業式、受験もそうです。そして、修学旅行に参加できない生徒も出始めています。

 明日から修学旅行に出かける中学が、市内にあります。その学校では今インフルエンザが流行中。明日いよいよ出発というのに、その直前にインフルエンザにかかってしまった生徒さんがでています。当院でも、今日お二人の方を診察しました。

 これが普通の風邪なら、明日までに体調を整えてかろうじて送り出せたかもしれません。残念ながらインフルエンザでは、そうはいきません。タミフルなどの抗インフルエンザ薬を使用することで早く治すことができるといっても、完治までには数日かかります。学校伝染病の扱いも、解熱して2日経たないと登校停止は解除しないことになっています。

 どんなに逆立ちしても、明日解熱するかどうか。たとえ熱が下がっても、まだインフルエンザ・ウイルスを持っている状態でしょうから、いつまた発熱したり、咳など他の症状が出てくるか分かりません。インフルエンザはそうとう体力を消耗する病気ですので、体調が良くなっているとはとても考えにくくい。やはり、明日の修学旅行の参加は本人のためにも見合わせることになります。

 そればかりではありません。インフルエンザの感染力はとても強く、列車、バス、飛行機などの閉ざされた空間に一緒にいると、他の生徒や先生方に伝染させてしまう可能性はそうとう高いものです。潜伏期は1〜2日程度ですので、修学旅行の途中で次々にインフルエンザ患者が発生することになりかねません。

 旅行先ですから、適切な医療を受けられる体制があるのか、不安です。比較的大きな都市などへの修学旅行であれば何とか医療機関を探し出すことはできるでしょうが、それでも移動中のことですから、受診のタイミングなどは難しいでしょう。一人の受診のために、全体の移動を中止したりしなくてはいけないかもしれません。

 受診ができ、タミフルなどの処方を受けることができたとしても、その後の看病をどうするのか。養護教諭が付いているかもしれませんが、休める場所の確保もままならないことでしょう。家庭のように、眠れるだけ寝かしてあげるなどということも、不可能です。発症した子どもさんと、付きそう教諭を残してくるわけにもいきません。

 少数の発生であれば、まだ何とかなるかもしれません。修学旅行の計画をたてるときにも、急病の子どもが出たときの対応は、ある程度は整えてあるでしょうから。しかしインフルエンザという感染症は、一挙に多数の患者を発生させる性格をもっています。何人も、あるいは何十人もの子どもたちが一斉に発熱し、文字通り動けなくなってしまったら、その対応は困難を極めることは明らかです。

 インフルエンザのお子さんが、完全に治った状態ではないのに参加すると、自分自身の問題だけにとどまらず、他の人たちに大きな迷惑をかけてしまうことが起こりえます。表現は悪いのですが、インフルエンザという病気の「被害者」である患者が、他の人へ感染させてしまう「加害者」になりうる、というわけです。

 結論はただ一つ。涙をのんで修学旅行への参加を断念することです。今日は、がっかりするお子さんと親御さんを見て、こちらも辛かったのですが、そこは心を鬼にして、「ドクター・ストップ」をかけさせてもらいました。

 山頂近くまで登山ができても、遭難の危険が大きい場合には引き返す勇気も必要だと言われています。困難な山に挑戦する勇気とともに、冷静に判断し、その結果によって断念することも、同じくらい、いやそれ以上に大切な勇気だと。

 明日の修学旅行を目の前にしながら、インフルエンザという病気にかかってしまったことで、泣く泣く参加をあきらめた子どもたちと親御さんも、大きな「勇気」を持っていた、ということが言えるかもしれません。

 辛くて悲しい経験になったかもしれませんが、きっとその分だけ心の器が大きくなることでしょう。修学旅行で得られるもの以上のものも、心の中に育てることができるかもしれません。

 友だちには、この子たちの分も楽しみ、勉強をし、身につけて来てください。みんなのことも思いながら“残留”したわけですから、お土産もたっぷりお願いしますね!

投稿者 tsukada : 23:58

2007年03月09日

ポストの数ほど

 先日、ある病院の勉強会に呼ばれて講師をしてきた話は先日の「院長ブログ」に書きました。定期的に行っている職員の自主的な勉強会だそうで、医師、看護師など、多くの方にご参加いただきました。

 私のテーマは「病児保育」について。2000年から始めたわたぼうし病児保育室のことを、その経過、現状、目指すものなどについて話をしてきました。

 他で行っている病後児保育室を利用された方もおられて、わたぼうし病児保育室の運営について、興味深く聞いておられました。多くの施設では、病気の回復期の「病後児」を対象としていますので、急な発熱などで病状が安定していない時には、利用できないこともあります。

 わたぼうし病児保育室は、そんな急性期の病児もお預かりしています。「急病」の時こそ、病児保育の必要性が高く、出番なのです。わたぼうし病児保育室の利用数が全国トップレベルであることを見ていただければ、その理由がよく分かっていただけることでしょう。

 「申し込みは絶対に断らない」もわたぼうし病児保育室のモットーです。そのために保育士をふだんから多く配置していますし、「認可外外保育施設」の認定を県から受け、体制もそうとう大きく作っています。人手が足りない時には、医院のスタッフも総動員するくらいのつもりで運営しています。

 いまだ行政からの補助を受けることができず、年間1,000万円超の赤字を出しながらの運営は、正直にいってきついです。でも、やりがいのある事業ですし、とても必要性の高い子育て支援だと思っています。

 折しも、わたぼうし病児保育室の会員登録更新をお願いしています(年度ごとに登録)。次の年度も利用を希望される方は書類を沿えて申し込んでもらっていますが、そのレスポンスは予想以上に早く、職員がビックリするほどです。多くの皆さんに必要とされ、大切にされていることを実感し、とても嬉しく思っています。

 「わたぼうし」と名付けたのは、このような病児保育室が全国各地に多くできてくることを願ったからです。できれば、かかりつけの小児科医院には必ず病児保育室が付属されているくらいになるといいな、などとも思っています。

 昔、「ポストの数ほど保育所を」という運動がありました。戦後の混乱期から高度成長期にかけて、子どもたちの良い育ちを願う運動でした。それがある程度達成された今、これからは「小児科医院の数ほど病児保育室を」などというスローガンで運動していく・・そんなふうにも思ってみたのですが、いかがでしょう。

 もっとも、肝心の小児科医が少なくなっている現状では、先に小児医療の確保が必要かもしれません。難しい世の中ですね。

投稿者 tsukada : 20:23

2007年03月08日

今冬一番

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 今朝の医院の様子です。日本海に近いところにありますが、雪で真っ白になりました。駐車場に設置している少雪パイプもやっと出番になりました。業者にお願いしているブルトーザーによる機械除雪も、今冬初めの出動です(そして、おそらく今冬最後になるでしょう)。

 市内の高田では36センチの積雪になったとか。3月に入ってから最大積雪を記録しているのも「記録的」なこと。今冬は暖冬、少雪とともに異常ずくめでした。

 昼間は晴れ間も見える良いお天気になり、道路はもう乾いていました。道ばたには雪の山ができていましたが、これが最後の雪模様になるのでしょうか。

 桜の開花予想が発表されていました。例年より早く、桜の花を見ることができそうです。暖冬なので当然のことかと思っていたのですが、必ずしもそうではないようです。

 桜のつぼみは、寒さを経験することで眠りから目覚めるのだとか。冬の気温が高いと、かえって開花が遅れてしまうのだそうです。これを「休眠打破」と呼ぶのだということを、お天気情報で伝えていました。

 「休眠打破」とは、何かこわそうなイメージの言葉で、お天気情報には似つかわしくないと、思わず笑ってしまいましたが、でも興味深いことですね。厳しい気候が、華やかな春の訪れには必要なのだということは、人間の生活や生き方にとっても、示唆に富んでいるようです。

 暖冬が続き、「温かさボケ」(?)した雪国の人間にとっては、昨日からの雪でやっと目を覚ますきっかけができた、といったところでしょうか。この雪が消えれば、いよいよ新しい春からのスタートです。さあ、元気を出して、前へ進んでいきましょう。

投稿者 tsukada : 23:59

2007年03月07日

除雪車出動

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 夕方は隣の市へ移動。高速道路は雪のため除雪車が出動していました。ちょうど私の前をゆっくり除雪作業していたので、ノロノロ運転。でも、雪道での事故は怖いですから、ゆっくり走るのは正解ですよね。

 海岸に近い上越市でも20センチほど降っていたので、山の方にある妙高市ではさぞ大雪になっているだろうと覚悟していったのですが・・。途中からほとんど雪のない様子に、ビックリしました。

 「里雪」と呼んでいるのですが、平野部の方がしっかりと降るタイプだったようです。風が弱いとそうなるのでしょう。北風が強く吹くようだと、その雪は内陸深く運ばれ、山に多量の雪を降らせることになります。

 でも、気温は思った以上に下がり、コートを着ても寒いと感じました。自動車に付いた雪は氷だしていましたし、路面もアイスバーンになりつつありました。自動車のメーターでは、路面温度は−2.5度。除雪車の代わりに、凍結防止剤を撒く作業車に出会いました。

 暖冬ですっかり春の気分になっていたのに、冷水をあびせられたような気分です。こんな荒天では、インフルエンザ流行がますますひどくならないか、心配になります。

 当地では明日、公立高校の入学試験。風邪など、ひいていませんか? 寒さに負けず、受験を乗り切ってください!

投稿者 tsukada : 23:09

冬に逆戻り

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 今朝は10センチほどの積雪。風がなかったので、木の枝もすっかり雪化粧していました。また冬に逆戻りです。

 お昼間もずっと雪が降っています。けっこう積もりそう。

もうすっかり春になったような感覚でいたので、このお天気はちょっとこたえますね。

投稿者 tsukada : 11:39

2007年03月06日

啓蟄なのに

 猛烈な「春の嵐」がやんだと思ったら、雪が降り出しました。それほどは積もらないかもしれませんが、夜になって外が白くなり出しました。

 今日は啓蟄(けいちつ)なのだそうです。虫たちが冬の眠りから目覚め、外に出てくるほど温かくなる頃という意味だと思います。でも、今日のお天気では、せっかく起き出した虫たちも、寒くてまた“お布団”の中に潜り込んでしまうでしょうね。

 明日の夕方は、隣の妙高市にある病院へ出かけてきます。看護師さんなどの職員を対象にした院内勉強会の講師を頼まれたからです。当院で行っている病児保育のことをお話しし、日本の少子化などについても触れてみたいと思っています。

 妙高市はその名前の通り、当地の名峰=妙高山をいただくところです。多くのスキー場もあります。今年は暖冬で、雪も少なく、安心していたのですが・・よりによって、私が出かける日が近づいて、急に雪が降り出すなんて。どうも、日頃の行いが悪いのでしょうか。

 外来は今日もにぎやかでした。インフルエンザもまだしばらくは発生が続きそう。以前B型インフルエンザにかかったお子さんが、今回はA型にまたかかってしまったり、一緒に熱を出して来院した親子が、それぞれ別の型のインフルエンザだったり。いろんなことが、毎日おきています。

 タミフルの使用にあたっては、できるだけ丁寧にお話をしています。それでご理解していただける方が大半なのですが、中にはどうしても使いたくないという方もおられたりもしています。

 人それぞれのお考えがみな違うのですから、それはそれでいいのですが、テレビで報道されて作られた「怖い薬」という印象が消えない方も少なくないようです。マスコミの影響は、やはり大きいんですね。「納豆ダイエット」の番組にも似た構造が、そこにはあるようにも見えてきます。

 とはいえ、私たちは医療のプロ。医学的な内容を、自分の責任で理解し、分かりやすく患者さんや親御さんに伝えていくことが仕事です。そして、多くの方がきちんと受け止めて下さっています。

 「医者の言うことだから、そのまま信用しろ」などと言うつもりはありません。疑問があって当然。そして、その内容を理解し、深めようとして下さる姿勢を大切にしていて下さい。

投稿者 tsukada : 23:48

2007年03月05日

インフルエンザ大流行!

 昨夜からの強風は猛烈でした。一度寝たら簡単には起きない私なのに、夜、何度か目が覚めてしまいました、外来の途中でも風の音が気になり、外を眺めていました(立て付けの悪い医院?)。

 ニュースを見て納得。市内(新潟県上越市)で、最大瞬間風速30.0メートルを午前中に記録したとあります。時速にすれば108キロメートル。高速道路を走っているのと同じスピードの風だったことになります。

 この風で転倒し、骨折をしてお年寄りもおられましたそうです。強風にあおられて横転したトラックもあったとか。きっと当地だけではなかったでしょう。各地で被害がでたかもしれません。本当に困った「春の嵐」でした。

 もう一つ「嵐」と呼べるものがありました。それは今日の外来風景です。ここ数年で一番混雑していたかもしれません。患者さんの多くはインフルエンザでした。

 インフルエンザの流行は2週間ほど前からの規模が大きくなり、先週ではまだ峠を越えていないようです。今日の様子からは、今週もまだまだ大流行が続きそう。市内各所の小中学校で学級閉鎖がでています。

 明日は公立中学の卒業式。その数日後には、県立高校の受験が控えています。受験生をお持ちの親御さんは、さぞご心配ですね。無事にやり過ごせることを願っていることでしょう。

 インフルエンザの診療の中でタミフルの“副作用”が問題になっていることは、先日の「院長ブログ」にも書きました。実際にタミフルを使うことが多いため、その説明に多少時間がかかっていることも確かです。

 あるいは、通常であれば症状や周囲の流行の状況からインフルエンザかどうかを臨床的に診断し、タミフルなどの抗インフルエンザ薬を使用することが多かったのですが、より慎重になっています。とくにタミフルを使う際には、迅速検査でインフルエンザの診断をハッキリしてから使うことが多くなりました。そうしないと、タミフルの使用について、親御さんから理解を得にくい・・そう感じています(私が心配しすぎているのかもしれませんが)。

 必然的に、迅速検査の数が多くなっています。その結果が出てから、再度私からお話をするので、診察時間もやや多めになっているようです。もちろん、検査が増えるわけですから、看護師や臨床検査技師の仕事量も増えることになります。

 実は、以前にインフルエンザが大流行したときに、今より多くの子どもたちを一日で診療したことがあります。受診者数という数字だけからは、今年はそれほどの流行ではないともいえます。

 しかし、やはり今の方が仕事量は格段に多いように思っています。職員数も以前よりさらに多くなっているのですが、それでも一人あたりの忙しさ感は、今の方が大きいことでしょう。

 あるいはそう感じてしまうほど、私が歳をとって、衰えだしているから?? いえいえ、まだまだ頑張りますよ。小児科医が一年で一番忙しい時期=最も頼りにされる時期。私やスタッフが大変だということは、同じように受診してくる人たちも大変な思いをしているということなのだと思います。

 何よりも、インフルエンザにかかった子どもたちが一番辛い思いをしていることでしょう。そのためにも、もうしばらく力を100%発揮することにしましょう!

投稿者 tsukada : 23:13

2007年03月03日

インフルエンザに追われた一週間

 怒濤の一週間がやっと終わったというところです。インフルエンザの大流行、休日診療所勤務、講演、エフエム番組の収録、各種「通信」の作成、月末月初の仕事・・。振り返ってみても、いつどこでどう過ごしていたか、良く思い出さないと分からないくらいです。

 いろんなことが重層的に発生し、その一つ一つを片付けていくことがやっと。それでも大きな漏れや事故もなく、やり通すことができたようで、ほっとしています。(逆に言えば、小さな漏れや出来事はあったということになります。あるいは、けっこう大きなものがあったけれど、それを認識できなかったのかもしれません・・)

 インフルエンザの流行は例年より遅れて2月上旬に始まり、下旬には大流行になりました。今週は先週の1.5倍ほどの患者発生がありました。これでピークになってくれるといいのですが、どうでしょう。

 インフルエンザの治療では、タミフルの“副作用”が問題になっています。異常行動を起こしやすいのではないかということですが、インフルエンザはもともと神経・精神症状が起きやすく、はやしてタミフルがどれくらい関係しているかは分かりません。副作用としての問題があるかどうかは、これから医学的に検証されていくことでしょうが、タミフルの使用の有無にかかわらず、精神症状などのために事故をおこさないために、十分に注意をしていていただきたいと思います。

 一方で、タミフルを始めとして抗インフルエンザ薬はとても良い薬であり、安全に気をつけながら、ぜひ使っていきたいと考えています。“副作用”を心配するあまり、インフルエンザなのに薬を使用しないでいることは、なかなかできません。

 以前、こういった治療薬のないころ、インフルエンザの患者さんには「5日間くらいは熱が続くもの。それ以上熱が続くようなら、再度受診を」などと言っていました。結局きちんと治るまで1週間どころか、10日も2週間もかかることがとても多かったです。その間、インフルエンザ・ウイルスを周囲の人に伝染させているわけですから、家族の人たちが次々に倒れていき、“一家全滅”などという事態もまれではありませんでした。

 昔のことを考えると、やはりタミフルなどの治療薬は画期的であり、私たちの生活になくてはならないものになっています。より副作用がなく、安全に使用する方法を模索しながら、インフルエンザの大流行を乗り切っていこうと思っています。

投稿者 tsukada : 15:00

2007年03月01日

「自殺は卑怯」のその後

 今日から3月になりました。例年ならまだ雪に覆われているはずなのに、今年は天変地異。全く雪がないどころか、“春のお印”=スギ花粉が大量に飛散しています。このまま行くと、夏の訪れも早くなるのでしょうか。

 今日の「朝日新聞」の「声」欄に、「『自殺は卑怯』冷酷な言葉だ」という投稿が掲載されています。2月12日の投稿(「『自殺は卑怯』胸に残る一言」)に対する反論です。

 この「院長ブログ」でも取り上げましたが、自殺した人に「卑怯者」というレッテルを貼ることが、どれほどその周りにいる人たちを傷つけるか、想像に難くありません。高校教師を職業とする方が、公の紙面にこのような意見を発表することに対しても、残念な思いを通りすぎで怒りにも似た感情をもってしまいました。

 お子さんを自殺で亡くされた方が、反論の投稿をされ、掲載されたのが今日の「声」です。親として何が悪かったのかを自問自答し、周囲の何気ない言葉に傷つき、辛い毎日を過ごしてこられたことをお話になっています。その上にさらに「卑怯」と呼ばれることが、耐え難い苦痛であるとも。

 私も同様の趣旨の投稿をしていましたが、どうも採用されなかったようです。やはり、直接関係のある方のご意見の方が、より強く訴えることがあるからでしょう。

 ということで、私の投稿は没になったようですので、ここで紹介させていただます。誰が卑怯なのか、についても、短い文ではありますが、論究しています。どうぞお読みになって下さい。

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 「自殺は卑怯」とする教員の投書がありました(2月12日付け)が、本当にそうなのでしょうか。

 「卑怯者」というレッテルを貼ることは、ご家族にさらなる苦痛を与えるだけで、本質的な解決にはなりません。

 生きていく中で生じるトラブルの最終的解決として「死」を選んでしまうのは、自分に対して自信がもてないから。自尊心をしっかりと持つことが、前向きに生きていこうとする力を生みます。

 「自殺したら卑怯者と呼ばれる」と思わせることは、自殺を根本的には予防しません。すり減ってしまった生きていく力を、かえってゼロにしかねません。

 とくに「いじめによる自殺」は深刻です。いじめの特徴は多人数対一人で行われます。いじめをする者たち、つまり集団で一人の子どもに精神的・肉体的暴力を加える者たちこそ「卑怯者」です。

 さらに、いじめに直接は加わらないが、その事実を知りながら「静観」している子どもたちも大勢います。善悪の判断を停止させ、「見て見ぬ振り」をする者もまた「卑怯者」です。

 子どもたちには「自殺するのは卑怯だ」と言うのではなく、「いじめることや、それをやめさせないことは卑怯だ」と教えてほしいのです。

投稿者 tsukada : 22:22