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2007年04月23日

医療監修

 週末の2日間は、ちょっと映画の撮影に同行していました。先日もこの「院長ブログ」でお話をしましたが、上越市を舞台に制作が続けられている『絆』という映画です。

 主人公の奥さん(柏木由紀子さん)が病気で亡くなるというシーン。市内の病院をお借りし、撮影しました。

 設定は「心筋症」という重い心臓病を患い、心臓の働きが極端に弱くなってきているというもの。私は、亡くなる直前の緊急時のシーンを中心に、医療監修のまねごとをしていました。

 大まかな台本はすでにできていましたが、病気のことや、検査、処置など医療行為については、専門的な検討も必要でした。どんなふうに病状が悪化し、どのように亡くなっていくか。その最後のシーンで、医師や看護師が何をすればいいか、どんなふうに話し、行動するか。そんなことをアドバイスしていました。

 スタッフの方と相談しながら決めていきましたが、なかなか難しい問題もありました。できるだけリアリティーを持たせるほうが良いように思って提案するのですが、使える機械や機材には限りがあります。映画全体の流れの中で、医療シーンだけがリアル過ぎるというのも、バランスが悪くなることでしょう。

 もちろん明らかにこれは違うよね、などと、見ている人をがっかりさせるようなシーンを作るわけにもいきません。アメリカのTVドラマ「デスパレートな妻たち」では、レントゲン写真が逆さに貼られていて、やっぱり気になりました。

 処置が全く間違っているものだとしたら、見ている人に誤解を与えてしまうかもしれません。一般の方が緊急の時に「あの映画ではこうしていたから」と、むしろ参考になることがあれば、望外の喜びです。作り事としてのウソはあっても、一つ一つはある程度事実に則ったものであることも、大切なのですね。

 そんな意味でも、映画作りの中に参加させてもらえたことが、とても勉強になりましたし、楽しい経験でした。

 心臓の病気なので、心電図モニターを見ながら処置をしていきますが、モニターに映し出される心電図の波形を決めるのも私の仕事でした。医療機器のメーカーからお借りしてあったモニターには、あらかじめ正常の心電図と、いくつかの不整脈が表示されるようになっています。少ないパターンの中で、どんな形にすればストーリーと合うか、選んでいきました。(自由に波形を作れるとしたら、もっと“それらしい”モニターにすることもできたのですが、心電図の勉強会のために作る映画ではないわけで、とりあえず“それらしく見える”ものにはしておきました。)

 実際の撮影場面では、忙しそうにしている撮影スタッフの代わりに私がこのモニターを操作係を担当。もちろん画面には映っていませんが、映画をご覧になった時、柏木由紀子さんのベッド脇に心電図モニターが見えたら、その近くに私がいたことを思い起こしていただければ幸いです(^_-)

 最後は心臓マッサージのシーンもあります。俳優の方の扮する医師が実に見事にやっています。セリフもそうですが、本物の医者よりも医者らしく見えていました。少なくても私よりずっと。さすがは役者さんですね。

投稿者 tsukada : 2007年04月23日 23:45