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2007年06月02日

カナダでは

 日本国内で流行している麻疹が、カナダでも問題になりました。日本からの修学旅行中の高校生が麻疹を発症し、病院に入院。同行した生徒たちを教職員もホテルに待機を命じられたということです。

 検査をし、免疫のない41名にワクチンを接種し、麻疹らしい症状も出ていないことから、入院中の一人を除いて帰国の予定になりました。しかし、出国検査で問題になり、この41名は飛行機への搭乗を拒否され、出国できないでいます。

 カナダも予防接種を徹底して行うなどによって麻疹発生がほぼゼロになっています(「根絶」の手前の「排除状態」)。日本での麻疹流行を、とても神経質にみていることは容易に想像がつきます。

 修学旅行の生徒さんたちには同情を禁じ得ませんが、でもこれが「先進国の常識」。麻疹の根絶に向けて、国をあげて真剣に取り組んでいるからこその、厳しい対応なのです。

 もしも麻疹患者になってしまったら、その周囲に麻疹ウイルスをばらまいてしまいます。私たちは陸の孤島に一人で生きているわけではありません。多くの人たちとともに一緒に生きています。その中で麻疹を完全になくすためには、例外なく全ての人が麻疹にかからないだけの十分な免疫を持つことです。

 ドミノ倒しに似ているかもしれません。一つのドミノが隣に傾くと、次のドミノが倒れ、そのまた次のドミノも倒れていく・・。もしもドミノが倒れないようなストッパーがおいてあれば、ドミノ倒しの連鎖はそこで止まります。

 麻疹に対する免疫をきちんとつけておけば、その人の周囲で麻疹が発生し、麻疹ウイルスに暴露されても、のどや鼻の粘膜でブロックされ、体内に入り込むことはありません。麻疹ウイルスを増殖されることがないわけですから、麻疹を発症しないと同時に、麻疹ウイルスをまき散らすことはありません。見事にストッパー役を果たしてくれます。

 「2回の麻疹接種」によって十分な免疫を作っておくことは、自分を守るためでもあり、社会を守るためにもなるのだということを、知っていてください。

 外務省は、カナダでのトラブルを受けて「30歳未満ではしかの免疫がないと思われる渡航予定者に対し、ワクチンの接種を勧める」という渡航情報を1日に出しました。これは異例のことだそうです。全文は次のページでご確認下さい。

【日本における麻疹(はしか)の流行について】

 外務省の公式HPに、麻疹についての注意が出てくるようになりました。では厚生労働省はどんな対応をしているのか、HPを見てみましたが、なかなかそれらしいものを見かけません。やっと見つけ出したのが、麻疹についてのQ&Aでした。

【麻しん(はしか)に関するQ&A】

 内容は見ていただくと分かりますが、ほとんど他人事です。厚労省は評論家の集まりなの? こんな内容なら、私のHPにもすでに書き込んでありますよ。あなたたちがしなくてはいけないことは、具体的な政策の立案と実行でしょ!

 少なくとも、カナダで修学旅行生が陥ったトラブルについて、どんな点が問題であって、これからどのようにしていかなくてはいけないかを示さなくてはいけないはずです。

 「30歳未満には麻疹予防接種を!」と外務省が言っているのに、厚労省がきちんと対応しようとしないなんて、やっぱりおかしな国ですよ。

投稿者 tsukada : 2007年06月02日 21:08