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2007年06月14日

校内出産

 先日、新潟県内のある高校で、女子高生が校内のトイレで赤ちゃんを産み、その直後、その赤ちゃんが死亡しているのが見つかりました。高校生は産んだあと、友だちに携帯電話で連絡し、先生方が駆けつけましたが、すでに赤ちゃんは亡くなっていました。

 妊娠していることには、友人、学校関係者、そして家族も気づいていなかったそうです。臨月での出産だということですが、若い女性の場合に、骨盤腔にすっぽりと胎児が収まってしまうことがあり、さほどお腹が前に突きでないこともあるのだそうです。

 生理がなくなりますが、若い方は生理不順はよくおきるので、数か月程度無月経が続いても本人も良く分からないことがあるとか。でも、臨月まで来ているわけですから、気づかないわけはないでしょうね。少なくともセックスはしているわけですから。

 きっと誰にも相談できずにいたのでしょう。家族にも、友人にも打ち明けられず、一人で抱え込んでいたに違いありません。辛い気持ちが、ずっと続いていたのでしょう。

 セックスするほどの男友達がいたはずなのに(レイプされたのではないとしたら)、その彼に妊娠の事実を告げるということはなかったのでしょうか。それほどの深い関係でもなかったの?

 あるいは、彼に心配をかけてはいけない、迷惑をかけてはいけない、などという気持ちが働いた? 彼に嫌われたり、捨てられたりしてはいやだ、なんて気持ちにもなったのかもしれません。

 きっとコンドームを使っての避妊はしていないのでしょう。セックスには妊娠の可能性が必ずあります。その時に「傷つく」のは女性だけ。男は安泰です。

 もし相手が「不特定多数の女性と性交渉をしている男性」であれば、女性は性感染症にかかる心配もあります。エイズもその一つ。ここまでくると、女性自身がしっかりと物事を考えていなければ、自分自身の命さえも脅かされることになります。

 「寝た子を起こすな」という意見があります。十代の子どもたちに、セックスのこと、エイズのこと、そして避妊のことなど、いわゆる性教育をすることに対して反対する意見です。こういった「知識」を教えるから、かえって興味を持つのだと。

 そういった一面もあるかもしれませんが、もうすでに十分な興味を子どもたちは持っています。「性教育は悪」と考えるのなら、日本中のテレビや雑誌などから、性に関する行き過ぎた表現を撤廃するように働きかけてほしいものです。

 一方的で偏ったいかがわしい情報が大量に若い子どもたちに与え続けられている現状では、ますます「正しい知識」を伝えることをしなくてはならないはずです。もちろん、マスコミなどの情報をきちんとするようにしてほしいですが、今の日本でそこまですぐにできるとは思えません。まずは子どもたちを「あふれかえった情報」からどう守るかを真剣に考えましょう。

 この女子高生には、性に対する正しい知識を十分にもっていなかったことは確かでしょう。さらに、家族や友人に相談する勇気もなかった。いや、打ち明けてもらえるような信頼できる人間関係を、お互いが作ることができていなかったのでしょう。それは、この子のことだけだではなく、今の子どもたちの普通の様子かもしれません。

 学校のトイレで産み落とされた赤ちゃんは、水死していました。出産後、この子の手によって便座の中につけられたのだというのです。「死んでしまうことは分かっていた」のだとか。この間、どれくらいの時間があったのでしょうか。彼女が「母親」であったのは、ほんのわずかな時間だったのでしょう。母親としての自覚、責任、そして愛情を感じる余裕はなかったに違いありません。

 彼女は殺人容疑で逮捕され、身柄を拘束されたまま送検されました。これから法律によって裁かれる身になります。

 この事件の被害者は、母親に抱いてもらうこともできず、名前もつけられないまま死んでいった赤ちゃんです。加害者は女子高校生・・いや、彼女も被害者なのかもしれません。具体的なことは分かりませんが、ゆがんだ社会の中で、自分を見失っていったようにも思えるのです。

 「性」と「生」について、子どもたちといっぱい話し合わなくていけないですね。それを避けていたら、これからも不幸な若き母親と赤ちゃんが生まれてきてしまうでしょう。

投稿者 tsukada : 2007年06月14日 23:59