2007年07月02日
夜間診療所
今夜は休日夜間診療所の当番日。おおむね月に1回、平日夜の時間外診療を担当しています。
各地で小児医療の体制が問題になっています。中でも夜間などの時間外急患体制が十分不十分。開業医は昼間の診療で手一杯。いきおい時間外の急患は病院の勤務医の負担になってしまいます。
病院の先生方にとっては、当直をしていてもそれは入院患者のために行っているもの。もし重症の方がおられれば、その対応で手一杯。小児科であれば、未熟児や異常新生児が一人でもおられると、かかりっきりになり、とてもそのほかに手がまわりません。
そんな中でも急患の患者に応じてもらっているので、過労死寸前の勤務医も少なくないことは想像にかたくありません。当直あけの翌日も、通常は普通勤務です。それがどれくらい大変なことであるか、私も経験があるので分かります。
慢性的な睡眠不足や過労状態で勤務することは、医師本人だけの問題ではありません。患者さんにとっても大いに関係しています。判断能力や技術の低下している状態での診療は、そのレベルが低下し、時にはミスが起きるかもしれません。医療事故も懸念されるのです。
医師の労働に対して、その疲労度から適切な労働時間や労働量を決めようという動きは、私の知る限りではありません。それでいいのかな、っていつも思っています。
睡眠不足でフラフラの状態の機長が操縦するジェット機に乗りたいですか? うとうとしながら運転しているバスに、そのまま乗り続けたいですか?
航空管制官は一定の勤務時間のあと、休息をとることが決められています。連続しての勤務は判断ミスを誘発することがはっきりしているから。
それに対して医師はどうでしょう。当直といってもほとんど一睡もできないこともあります。病院で「一泊二日」の連続勤務は、当たり前のように行われています。それでも医師が勤務を続けるのは、そのプロ根性からです。患者さんにために働き続けることが、医師としての使命だという気概があるからです。
でも・・燃え尽きてしまういこともあります。回復不可能な疲労の蓄積が、うつなどの精神異常をきたすこともあります。「過労死」という日本特有の死因をいただくこともあるかもしれません。自殺を選ぶことも。
日本は本当に豊かなのかどうか、分からなくなります。どう考えても、貧しい国でおきている、決して美しくない悲しい出来事です。
開業医である私も同じような状況なのかもしれませんが、それ以上に勤務医の先生方のご苦労の方がはるかに過大です。少しでも負担軽減になるように、ということで、各地で休日や夜間の診療を行うところが作られてきています。私が今勤務しているところも、そうです。
医師会員が持ち回りで勤務につくので、一人一人の負担はそれほどには大きくはありません。私も月に1回は出番がまわってきます(時間外の診療は子どもたちが大半なので、小児科医である私はほかの方より多く出ることにしています)。
今日も何人かの子どもたちを診ています。それほど大きな病気ではありませんが、診察を受けているということで安心されて休むことができるでしょう。そして、間接的にではありますが、勤務医の先生方の負担が少しは軽減されていることかと思います。
そして私の「夜の仕事」は、もう少しで終わろうとしています。お疲れさま!←自分で自分をねぎらっています(^_^;)
投稿者 tsukada : 2007年07月02日 21:47