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2007年07月17日
地震の影響
中越沖地震から1日経ち、その被害は想像をはるかにこえるものだということが分かってきました。電気、水道、ガスなどのいわゆるライフラインもまだ確保されず、多数の方がおられる避難所にも十分な水や食料、トイレなどが供給されていないようです。被災地の様子が心配です。
わずか30キロほどしか離れていない場所が、これほどの被害にあっているということを、まだ信じられない気持ちです。私の周囲に大きな影響がなかったことも、ただの偶然だったのかもしれません。
医院には多くの方からお見舞いのお電話やメールをいただきました。当院は被害がまったくなく、診療も通常通り行うことができています。ご心配をいただき、ありがとうございました。お心遣いに感謝しております。
受診者の中で震災に関係した方も多少おられました。あれだけの大きな地震の揺れを経験したために、精神的に不安定になったり、体調を崩してしまっても不思議ではありません。当院に受診した子どもはまだ少数ですし、軽い症状ですが、今後も引き続き注意をしていきたいと思っています。
大きな余震がおきる可能性もまだあるようです。先の「新潟県中越地震」では確か3日ほど経ってから、診療中に余震があり、びっくりしました。気象庁からもここ1週間ほどは警戒するようにという注意換気もされています。
余震発生時の対応のために、医院では待合室に保育士を配置しました。保育士は病児保育室に勤務していますが、ふだんから、勤務に余裕があるときには、できるだけ待合室で子どもたちに本の読み聞かせなどをするようにしています。今回は、万一の際の安全確保のために、子どもがいる場所には必ず職員を置くことにしたものです。
また、子どもたちの中には地震に対して不安を訴える子もいるかもしれないので、そんな様子の子どもさんがいたら、丁寧に話を聞くように指示を出しています。保育士からの報告では、地震で体験したことを話してくれた子が何人もいるようです。
大地震発生後のPTSD(外傷後心的ストレス症候群)について、最近分かってきたことですが、子どもたちは不安な気持ちがあとで出てくることがよくあります。震災直後は大人たちの大変そうな様子を見ていて「お利口さん」にしているけれど、少し周囲が落ち着いてくると、その時の怖い体験がよみがえってきたりして不安定になりやすい。
そのような時には、子どもの話を良く聞いてあげたり、その時の気持ちを絵に描かせてみるなど、言葉や絵で表現させることも大切なのだそうです。大人たちは普通の生活に戻って、自分の気持ちはある程度整理できている時なので、子どもたちの気持ちを推し量ることができにくくなっていることが、子どもたちのとってはよけいストレスになってくるようです。
怖い体験を話させるとことは、忘れかけていたものを思い出させるからやめた方がいい・・そんなふうに思いがちですが、そうではないということです。むしろ、心の奥深くにしまい込んでしまわず、それを表現させて、自分自身で客観しすることができるようにしてあげることが、心の整理につながっていきます。
何よりも、安心して話せる大人や友だちの存在は大きな意味をもちます。親御さんだけでなく、保育士、教師、私たち医療従事者、そして周囲にいる全ての大人たちが、子どもたちを温かく見守ってあげる姿勢を持つことが重要です。
震災では直接には「物」が破壊されますが、ときには「心」も壊されてしまいます。1日も早い復興をお祈りしておりますが、その中に「心」のケアも忘れないようお願いします。
投稿者 tsukada : 2007年07月17日 23:59