2007年10月12日
白も赤も
伊勢の名物「赤福」が製造日を偽るなどの不正行為をしたと、今日のニュースは伝えています。出荷しなかった商品を冷凍し、数日後に解凍。包装を新しくし、この日を製造日として販売していたというものです。
社長の会見では、これは通常の製造工程だと説明しています。衛生上の問題がなければ、味がどうなるのかは分かりませんが、そんな作り方があったとしてもおかしくはないかもしれません。でも、やっぱり疑問に思います。
添加物などを使用しないで、創業300年の伝統を守ってきているというのがセールスポイントの「赤福」。一度製品になったものを冷凍し、解凍するという製法(?)が、代々伝わる伝統でないことは明らか。味が落ちるかどうかは分かりませんが、そんな加工をすることが「赤福」の名を汚すことにはならないのか、考えたことがあるのでしょうか。
社長は「製造年月日」とは書いていない、と主張していました。確かに包装に押してあるハンコは「謹製日」となっているよう。消費期限はその2、3日後の日付印が押されているので、問題はないと言っています。
でも買う方は、消費期限の数日前に作られたものだと「誤解」します。それがほとんどの方にとっての常識でしょうし、その「錯覚」をうまく利用していたんだな、と思ってしまいます。なかなかの“商売人”なのかも。
パチンコ屋の店頭に大きな文字で「本日開店10時」などと書かれたカンバンを見かけることがあります。意味するところは「今日は10時から開店」であって、「本日、新規開店」ではありません。でも、パッと見ると「今日開店するんだ!」などと思ってしまう人も多いでしょう。その「錯覚」をうまく利用(?)した、良くできたキャッチコピーと言えるのかも。
カンバンの話をもう一つ。以前、ある電気屋の外にあったカンバンに、大きな文字で「上越一安い店」とありました。でも、近寄ってみると、その下に小さな文字で「・・をめざします」とも。駐車場に面していたので、自動車が停まっていると下の文字が見えないようになるのも、良くできた(?)カンバンだと思ったものでした。
これらはどこかに知恵者がいて始めた広告の方法なのでしょう。偽装やウソとは言えないけれど、適切な表現とはいえません。でも、笑ってすませることもできそう。
しかし今回の「赤福」については、問題が大きいでしょう。本当に製造方法としても問題ないと社長が言っているとおりであれば、その製法(というより貯蔵?)方法をオープンにしていても良かったですよね。農水省が摘発し、メディアに大きく取り上げられてから、実はこんな方法だった、といっても、時遅し。言い訳にしか聞こえてきません。
北海道名物「白い恋人」が、同じような消費期限の改ざんで問題になったのは、つい先日のこと。「白」につづいて「赤」も不正をしていたというのでは、シャレにもなりません。
でも、こんなやり方で不適切に作られ、流通している食品が多いのでしょうね。分からなければそれでいい、って考えている人たちの心が、さみしいです。正直に生きていくって、今の世の中ではやはり難しいのでしょうか。
投稿者 tsukada : 2007年10月12日 23:45