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2007年10月22日

インフルエンザ予防接種開始

 10月も下旬。ようやく秋らしいお天気。とくに夜から朝方は気温が下がり、お布団を一枚多くしたほど。日中は暑いくらいになることもあるので、寒暖差はだいぶ大きいですね。

 このところ風邪引きさんなどが徐々に増えてきています。そろそろ小児科医の出番になるころのよう。

 もう一つ「小児科医の出番」が今日から始まりました。インフルエンザ予防接種です。例年と同じく、10月下旬からのスタート。年内いっぱい、毎日多くの子どもたち(ときには一緒に親御さんも)へのワクチン接種で忙しくなります。

 当院がインフルエンザ予防接種にも積極的に取り組みだしたのは10年ほど前。当初は親御さんの関心はさほどではありませんでしたが、インフルエンザに関係して脳症になってしまう子どもたちが決して少なくないことなどが分かってくると、急に受ける子どもたちが増加。しかしワクチンの生産量がさほど多くなかったため、ワクチンの確保に奔走したことを覚えています。

 今でも時々「ワクチン不要論」を耳にしますが、以前はもっと声高(こわだか)に叫ばれていました。高名な小児科医が言っているものだから、一般の方が惑わされるのも仕方ないことだったかもしれません。

 マスコミの中にもワクチンの全てが危険だという論調が普通にありました。危険なものだから中止せよ、自然に任せる(つまり病気になること)が一番いい、と。ずいぶん乱暴な意見がまかりとおっていたものです。

 私が朝日新聞に投稿したのもこのころです。インフルエンザはワクチンで積極的に予防しようと。でもこの投稿もそのまま採用されたわけではありません。紆余曲折がありました。

 投稿した直後に編集部から採用の連絡をもらいました(氏名などの確認のために電話を入れたようです)。しかし、その直後に先の「著名小児科医」がワクチンへの疑問を書き連ね、それが紙面に出ました。同じ新聞社として、異なる意見は出せないということで、私の投稿はボツになりました。(そもそもこの理由がおかしいのですが、この話は実際に私が担当者から聞いた言葉です。)

 頭に来た私は、全国の小児科医で作っているメール・リンクにこのことを書いたところ、それを読んだ他の小児科の先生が朝日新聞に抗議の電話をかけてくれました。それも何人もの先生が。その結果、私の投稿が生き返った、という経過があります。(「ワクチン不要論」に対しての意見という形になり、多少の変更がありましたが、趣旨は変わっていません。)

 この先生は今でもお元気にご活躍されているようですし、相変わらずワクチンはいらない、と話しているようです(あまり詳しく知らないので、もしかしたら多少ニュアンスが変わっているかもしれませんが、基本は同じでしょう)。向こうにしてみれば、田舎の開業医ごときを相手にする必要もない、と思ったのかどうかも分かりませんが、とくに反論らしいものもありませんでした。(この先生が主宰しているHPの中で、私の投稿が話題になった、という話は確認していますが、きっとすぐに忘れられたことでしょう。)

 インフルエンザ予防接種が始まると、昔のそんな記憶がよみがえってきます。最近はワクチンの確保に困ることもなくなってきましたし、受ける方も一時期よりは落ち着いているようです。きっと多くの医療機関で対応して下さり、親御さんも冷静に対処されるようになってきたからだと思います。

 当院では今日からインフルエンザ予防接種が開始。年内いっぱいまで、足かけ3か月の間、通常の小児科診療の他に取り組むことになります。年齢によってワクチン接種量が異なるなど、気を使うことも多々あります。最後まで間違いなく、スムーズに行えるよう、職員一同で頑張っていこうと思っています。

投稿者 tsukada : 2007年10月22日 23:00