2007年11月04日
小沢氏・代表辞任を表明
小沢一郎氏が民主党の代表を辞任したいとするニュースが、今日の夕方から大きく報道されています。急な展開にビックリすると同時に、そうするしか方法がないんだろうねという気持ちもあります。
直接の原因は、先日行われた自民党党首=福田氏との会談で、「自民党との連立」提案に対する態度が党内から批判されたこと。小沢氏の説明では、福田氏から持ちかけられた連立構想をいったん党に持ち帰り、政策実現のためにはそれも1つの方策だとして幹事会で説得しようとしたけれど、賛成されなかった。それは自分に対する不信任である、ということのようです。
形式的に不信任ではないのに、そう感じてしまうということは、よほど連立構想に対して強い思いがあったということなのでしょう。
でも、自民党と連立するなどということはこれまでの民主党の政策には全くでてきていないはず。先の参議院選挙の公約にも、それはなかったし、その後の政治プロセスの中で「連立」の話を小沢氏自身がしてはいません。
例えば1回目の党首会談が行われたあとの11月1日の記者会見では「連立どうのこうのという政局論的な政治問題は一切なかった」「今、私はそういうことは考えてない。総選挙に向け、何としても今度の衆院小選挙区で過半数を取るのが当面最大の目標だ」と話しています。
その翌日の党首会談で連立のことがテーマになり、その場で明確に否定しなかっただけではなく、党に持ち帰って幹事会を説得しようとしています。この態度の豹変を、どう考えればいいのでしょうか。
どうも言っていることにスジが通りません。しかし今日のニュースの中で、例えば読売新聞に目を通すとその“謎”が解けてきます。朝刊の1面トップの見出しは「『民主党内、絶対まとめる』大連立は小沢氏が持ちかけ」。
この報道の真偽は分かりませんが、小沢氏の方から連立構想を持ちかけ、それを党が否定したとしたら、代表を辞任するだけの大きな理由になります。さらにこの記事では、2回の党首会談そのものを呼びかけ、セットしたのが小沢氏であると書かれています。
小沢氏は代表辞任の意向を伝える記者会見で、その最後にマスコミに対する批判を行っています。朝日と日経新聞以外はデタラメだと。さて、どのメディアが伝えることが真実なのか、国民には皆目見当がつかない状態になってきました。
小沢氏がそこまで言うのであれば、例えば会談の内容を録音したテープを公開すべきでしょう(もしそれがあればの話ですが)。この党首会談が「密室」なのではないか、と記者に追求されて、そうではないと断言した小沢氏であれば、それくらいの用意をしていても良いはず。
自分の言っていることを信じてもらえず、自民党筋から出たであろう情報を信じているマスコミや国民に対して怒りをぶつけているようですが、それは筋違いというもの。会談をオープンにし、その内容をリアルタイムに国民に公表しなかったことが、この混乱した状態を生んでしまったのです。それはひとえに2人の党首と、2つの政党に責任があることです。
小沢氏の考えでは、自民党と連立を組まないかぎり、民主党の政策は実現しない。公約も果たせない。だから連立は必要であり、政権協議をする中で民主党の政策を実現していくしか方法がないのだとか。・・ずいぶん早々と敗北を認めるのですね。「剛腕」で知られる小沢氏には似つかわしくない論理のように聞こえます。
先にも書きましたが、自民党と連立を組んでほしくて民主党に投票した人がどれくらいいるのでしょう。緊急の世論調査では、民主党支持者の多くは連立構想に批判的だそうです。
仮に連立を組んで与党の一員になったとしても、民主党の目指す政治がどれくらいできるのでしょう。自民党単独政権、あるいは自公連立政権より多少は民主党の政策が反映されやすくはなるでしょう。でも、完全に政権をとっているわけではなく、100%民主党の政策が通るなどということがありえないのは、明らかです。
今、衆議院と参議院では過半数を占める勢力が逆転しています。そのため政権運営が行き詰まり、与党が苦しい状態に追い込まれています。でも苦しいのは民主党も同じなのですね。それが良く分かりました。参議院での圧倒的な優位さを、自分たちの目指す政治の実現に役立てることができないと、正直に白状しているようなものです。
そして苦し紛れの連立構想。それは自民党へのすり寄りにしか、私には思えないのですが。(古巣の自民党に戻りたい?)
小沢氏が民主党の代表を辞任することで、民主党は独自の政権構想を作っている必要に迫られます。いったいあなたたちは何がしたいのか。国民に対して、どのように責任を全うしようとしているのか。
もっとも、そんな小沢氏を慰留させようとする動きが民主党内にあるという話ですから、どうなることやら。民主党が民主党らしく存在しようとするならば、密室で連合構想をひそひそと総理大臣と相談していた小沢氏を解任するくらいの、毅然とした態度をとるべきだと、政治には門外漢の私は思うのですが、いかがでしょう。
投稿者 tsukada : 2007年11月04日 21:23