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2008年06月10日

愛語

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 先日見つけた本です。良寛がしたためた『愛語(あいご)』を、新井満氏が自由な解釈で訳しています。

 良寛(1758-1831年)は越後(新潟県)で生まれました。出家をし、48歳で越後に戻り、以後74歳で生涯を閉じるまで、民衆に仏法を説いたのだそうです。自らは質素な生活をし、簡単な言葉(格言)によって説法をおこなっていました。子どもが好きで、よく遊んでいたとか。きっと優しい人だったのでしょうね。

 新井満氏は「千の風になって」の訳詞をしたことで有名になりました。芥川賞を受賞した作家でもありますし、電通社員時代から大きな仕事をたくさんしてこられています。作曲もするし、実に多彩な方。新潟市の出身。(一度、講演会を拝聴したことがあります)

 その新井氏が良寛の書を、自由に解釈したのがこの本。紹介文の中には、こんな言葉があります。

 「愛語、というものがあります/相手をやさしく思いやる言葉という意味です/それは、相手をやさしく思いやる心/いわば愛心から、生まれてきます」

 「愛語には大きな力があります/世の中を変えてしまうような/時代を変えてしまうような/とてつもない力を秘めています/どうかそのことを忘れないでください」

 愛に満ちた言葉は必ず相手に伝わり、相手を愛で満たすことだろう。愛のある言葉は、愛にあふれた心がなければ生まれてこない。心のありようが一番大切・・。

 そんな意味合いの言葉が、新井氏の自由な訳でつづられています。短い文の、薄い本ですが、そこに語られているものはとても大きくて重いものがあります。

 良寛のように、良寛の思いのように生きていくことができればいいな・・そんなふうにも思うのですが、自らを振り返って、とても遠くにいるような気がします。少しでも近づくことができればいいな。

 こんなことをいつもより強く思うのは、やはり「あの事件」の影響でしょうか。昨日はまだニュースを見る気持ちになれませんでした。あまりに辛すぎて。

※出版している「考古堂書店」は新潟市にあります。医学書の専門店で、私は研修医のころからずっとお世話になっています。良寛についても多くの出版をしています。ご興味のあるかたはHPをご覧になって下さい。→http://www.kokodo.co.jp

投稿者 tsukada : 2008年06月10日 12:12