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2008年07月28日
水の事故
日本の各地で不安定な天候になり、突風や豪雨による被害が出ています。夜のニュースでその様子を見ましたが、その惨状に目を覆うばかりです。
とくに兵庫では川遊びをしていた子どもたちが、急な増水で流され、何人も亡くなってしまったとのこと。楽しい夏休みが、一瞬で惨劇に変わってしまいました。
街の真ん中の、きちんと整備された河原での出来事です。その場所での降雨が少なくても、上流で大雨になっていれば急激に水位が上昇し、危険になることもあることをあらかじめ知らせることはできていなかったのでしょうか。
もっとも知識はあっても、危険な増水が起きていることをリアルタイムで知らせるシステムがないために、事故から逃れることはできなかったのかもしれません。
狭い平野から上流はすぐに山になっている地形のようです。山に降った水は一挙に平野部の川に流れ込むのでしょう。仕方ないことなのかもしれませんが、山に「保水能力」があれば、これほど急激な増水にはならなかったのかもしれません。
降った雨がいきなり川の水になるわけではありません。森林に降った雨は、まずは木々の葉を濡らします。葉から直接下に落ちる水もありますが、上の葉から下の葉へ、枝や幹を濡らしながら、ゆっくりと下ってくる水もあります。
大地に降った雨や木々を伝わって降りてきた水は、そこに豊かな緑があれば、落ち葉を濡らしたり、葉を湿らせたりするでしょう。そして大地まで到着した水も、最初は土に蓄えられていきます。
土の表面を流れる水や、土の中を通った水が川となって流れていきます。その先にもし広い水田があれば、そこが遊水池となり、そうとうの量の水がいったんためられることになります。
川の構造も、蛇行していればそこが“遊び”になってくれるでしょう。河原が自然の土や草でおおわれていれば、水位の上昇スピードを和らげてくれるはずです。少なくてもコンクリートで固められた川よりも「防災能力」があるのでは、と思えてきます。
いろんな段階で「自然」が有効に働いていれば、最終的に雨水が川になって流れていくのにはそれなりの時間が必要になります。そして急激に水量が増えることも、いくつもの段階でそれを阻止してくれる仕組みが、本来はあるはずです。
今回の災害があった場所を知っているわけではありませんし、専門家でもありませんので、軽々なことをお話ししてはいけないのかもしれませんが、でも自然の中にあるはずの災害を防ぐシステムが壊れていることを、強く推測せざるをえません。
映像で見る限り、ずいぶんお金をかけて河川を整備し、人工の河原を作ったようです。「治水事業」の名の下の行われたものなのでしょう。確かに地域への洪水などによる被害はなかったようですが、しかし事故は起きています。
「治水」とは何なのでしょう。自然と親しむことが、本当はどのような形で行われるべきなのでしょう。いろいろと考えさせられる事故でした。
投稿者 tsukada : 2008年07月28日 23:16