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2008年07月11日

お迎えサービス?

 県外のある小児科医から、病児保育についての問い合わせをいただきました。そちらでも新たに病児保育に取り組もうとしているというのです。さっそく当院でおこなっている方法をお伝えし、資料などもお送りしました。

 全国各地で、少しずつですが病児保育の形ができてくることをとても嬉しく思います。当院の病児保育室に名付けた「わたぼうし」の名前のように、全国にもっと拡がっていくといいな、と願っています。

 ところでその先生からご質問をいただきました。保育園に行っている途中で具合が悪くなったときに、病児保育室からお迎えにいけるのか、という内容です。以下はそれについて、私が書いた返信の内容です。参考にして下さい。

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 当施設では保育園などへのお迎えサービスは実施していません。他の病児保育施設で行っているようなので、検討してみたことはあります。職員とも話したのですが、実際にそのようなケースはまれでしょうとのこと。基本はやはり親御さんが迎えに行ってもらう形です。

 それができないとしたら・・
1. 軽い症状の時にはそのまま保育園で待っていてもらう
2. 重症であれば救急車を頼むなどして、保育士が医療機関に搬送する
いずれもこれまでも行っていることです。

 当施設では時間帯についてもお断りすることなく受け入れています(人数の制限は事実上ありません)。親御さんが昼休みになってから園に迎えに行き、そのままお預かりすることも可能です。医院に併設なので、診察もそのあと随時行えます。

 実際に片親の方では、この方法で有給休暇(時間休)をとらなくてすむので、仕事に支障がありません。(もちろん、子どもの病気看護についての手厚い制度があればいいのですが、いつになるやら・・)

 親御さんの中には、どうしても迎えにいけない方もおられるでしょう。そんな方は普段から代理になる方を頼んでいることが多いのではないかと思います。急な呼びだしにも対応できるよう、きっと以前から利用されているのではないでしょうか。新たに出てきた課題ではないでしょう。

 もしお迎えサービスをするとなると、いろいろな問題がありそうです。
・誰が迎えにいくか?(保育士+運転士=2名は必要。それだけの人的余裕はないでしょう)
・診療をどうするか?(医院併設でないときの受診は誰が? やっぱり親が行かないと不都合でしょう)
・自動車はどうやって確保しておくか?(職員の自家用車の場合、保険の問題も)
・費用は?(利用数はそれほど多くないでしょうから、物的、人的な費用はそうとう割高になりそう)
 いろいろと考えると、お迎えサービスは現実的ではないように思います。

 厚生労働省の方針としては、「急性期の病児保育も、一定の要件をそなえれば保育園で行える」としています。看護師の配置が必要なわけで、直ちに保育園で病気の子をそのまま預かり続けるわけにはいかないでしょう。

 でも、考え方としては保育園でもある程度は対応させようということです。さほど重症ではない病児を、保護者またはその代理の方が迎えにくるまでお預かりしていることに、何も問題はないはずです。

 少なくとも、今までやっていることと同じようにしてもらえればいいだけです。新たに病児保育施設ができたからといって、これまで行っていた保育園の役割をすべて代わって担わなくてはいけない、ということではないでしょう。

 長くなってすみません。

 最後に、今日一つ良い話がありました。当地のハローワークから、当施設が働く女性(働きたい女性)にとても役に立っている、とお褒めいただきました。率直に嬉しいです。

 経済的な援助が期待できるわけではありませんが、当施設の実践を見ていただいての評価をいただけて、とても心強くなります。

投稿者 tsukada : 2008年07月11日 19:52