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2008年12月23日

経済危機

 世界を襲っている未曾有の経済危機・・麻生首相は「100年に1度」といっていますが、そのわりには緊張感がなく、有効な対策が打ち出されないのはどうしてなのでしょう。

 大企業は業績見通しを下方修正し、派遣社員の雇用をどんどん減らしています。これまでに企業内にため込んである利益はけっして少なくないはず(トヨタ自動車は数十兆円もあるのだとか)。当面の雇用を維持することは、そう難しくはないはずなのですが。

 経営者としては当然の判断なのかもしれません。売り上げが減り、利益も少なく(ときには赤字になる)ことがはっきりしている中で、これまでと同じ生産体制をつづけることは、ある意味で「放漫経営」ということになるかもしれません。でも、それは「利潤」だけが会社の役割だと考えているからではないでしょうか。株主の方だけを向いて仕事をしているからなのではないでしょうか。

 会社には社会に貢献するという大きな役割があります。いま日本の社会が大変なことになっているというのに、自分の会社の経営だけしか考えないというのは、会社の存在する意味を取り違えているのでは。本当の意味での「経営者」とは言えないのだと思います。

 そもそも「派遣」という労働者雇用のあり方が問題なのかもしれません。基本的に労働コストを安くするためだけのシステムなのだと思うのです。

 かつても日本式経営といえば「終身雇用」でした。一つの会社に入り、長きにわたって勤め上げ、定年を迎える。場合によっては定年後も関連企業に再就職し、働き続ける。

 そんなシステムを維持することは、経済が国際的になり、競争も世界的な規模で行われるようになった時代にはそぐわないとして、捨てられていきました。日本の企業のあり方も、ずいぶんと変わりました。

 でもそれで良かったのでしょうか。労働コストを下げるということは、一人ひとりの労働者の収入が減ることに直結しています。それでも経営が順調なときには良かったのでしょう。しかし、今のような経済危機の中で真っ先に切り捨てられるのは、派遣社員です。そういう仕組みが日本にも作られたということです。

 派遣などの非正規雇用の労働者が大量に首切りをされている事態に対して、それぞれの企業の責任をしっかりと問うことは大切です。しかし、それ以上にそんな仕組みを日本にも作ってきた政府の責任の方が遙かに大きく、見逃されるべきではないと思っています。

 いま政府がしようとしていることは、職を失い大変な状況に陥った人達に「ほどこし」をしているかのようにも見えます(それにしても圧倒的に不足していますし、対応が遅すぎます)。そうではなく、自らの政策が働くものを守るためには不適切だったと求めた上で、大きな方向転換を迫られているということをしっかりと受け止めてほしい。

 小泉元首相が率先して行ってきた「構造改革」とは、じつはこんなものだったんだと、よく分かるようになってきました。ここ数年、社会保障費を大幅に削減した結果、日本の医療と福祉が崩壊の危機にたたされています。それも小泉時代に作った「骨太の改革」とやらに政治と行政が縛られているからです。

 そしていま、実は企業の経営がお金儲けだけを基準として行われるように、あの時に方向転換したのだと気づかされます。国民を守ることができない国の仕組みは、やはりおかしいことですよ。それを痛感しています。

投稿者 tsukada : 2008年12月23日 22:01