2009年07月14日
麻疹ゼロをめざして
今夜はある会議で保健所の方とお会いする機会がありました。テーマは2つ。1つは「麻疹対策」です。日本は世界で有数の(?)麻疹多発国で、対策の遅れは世界中から非難を浴びてきました。政府は重い腰をあげ、2010年までに日本から麻疹を排除するという目標をかかげて、やっと対策に本腰をいれるようになりました。
当面は麻疹予防接種を小児期〜青年期までに2回は必ず受けてもらおうことになっています。麻疹ワクチンは1歳と小学校入学前1年間の2回接種を行っていますが(1期、2期)。昨年度からの5年間は、1回しかうけていない学童や生徒にも2回目の接種を行っています。中学1年(3期)か高校3年(4期)のいずれかで接種をしています。
問題はその接種率。麻疹を制圧するには95%以上の子どもたちが確実に2回のワクチンを受けている必要があるといわれています。せっかく制度を作っても、誰も受けていないようであれば、これまでと変わりません。
昨年度の当地域での接種率が報告されたのですが、1〜3期では目標を達成し、4期でももう少しでクリアするくらいになっています。全国的には8割台だといわれていますので、なかなかの成績。予防接種を担当している市役所が、繰り返し親御さんに案内をしたり、接種漏れのご家庭に個別に連絡をしたりした成果が現れているようです。
もちろん私たち小児科医も健診などの機会を通して積極的に関わってきました。その“頑張り”も評価されてもいいだろうな、とも思った次第です。
少し前までは、ワクチンは害がある、自然に病気になった方がいい、などと、もっともらしいことを言う小児科医もいましたし、マスコミもそれにすぐ迎合していたものです。今やワクチン接種によって麻疹を予防し、子どもたちの健康や命を守ることは当然のことととらえてもらえるようになりました。
しかし麻疹が完全に制圧されたわけではありません。誰かの言葉ではありませんが、「麻疹患者が最後に一人になるまで徹底してワクチン接種を行っていく!」ことが必要です。まだまだ気をゆるめるわけにはいきませんね。
今日の会議のもう一つのテーマが「新型インフルエンザ」。きっとこちらの方が重きがあったのでしょう。そして議論百出。私の血圧が上がったのも、実はこちらの方でした。
そんな話題については、また明日報告しましょう。
投稿者 tsukada : 2009年07月14日 23:26