2009年08月30日
ドン・キホーテなのかな?
厚生労働省は新型インフルエンザの流行予測を発表しました。すでに流行期に入っていて、今後数週間で流行がピークに達し、国民の2割がかかるだろうとのこと。
ピークを迎えるのは9月下旬から10月上旬。週あたり76万人!もの患者が発生。季節性インフルエンザの2倍の患者数になるだろう・・。
地域によって流行の仕方は違うでしょうし、2学期に入ってからのことが心配ですが、学校や保育園などで予防策が功を奏すれば流行が穏やかになるかもしれません(逆もありですが)。
正確なことは分かりませんが(誰にも予測できないでしょう)、でも新型インフルエンザの大流行がやってくることは確実。そして、当初いわれていたような「秋以降に」ではなく、予想以上に早くやってくることもまた確かのようです。
それに対する備えは、けっして十分とはいえません。国民の中にもないでしょうし、私たち医療機関にも十分なものは何もありません。もとをただせば政府にもきちんとしたものがあるとは思えません。
当院では今「隔離棟」を建設していますが、予定では10月末に完成です。これでも建設会社の方にはずいぶんと急いでもらったのですが、それでも間に合わない事態も予想されます。
新型インフルエンザの患者さんで院内がパンク状態にもかかわらず、隣ではまだトントンカンカンと工事が続いている。そして完成したときには新型インフルエンザの流行は穏やかになっている・・まるで笑い話のようなこともおきてしまうかも。
地域のこどもたちを新型インフルエンザ流行から守るためには何でもしよう・・そう決意をして動いてきたつもりですが、結果として何もお役にたてなかったなんてことになりはしないか。そんな不安も感じてしまいました。
あと1か月で「感染爆発」がおきるという予測・・宣戦布告を受けたようなものです。今から大車輪で準備をし、戦う準備をしていきたいと思います。
「隔離棟」も、内装ができていなくても、とりあえずは待合室や処置室としての機能は果たせるようにしましょう。今のスタッフがそのままフルに勤められるようにいくつかの準備をしますが、それでもマンパワーは不足するでしょう。そのための補充も早急に行います。
検査キットや治療薬が不足しないようにしたいと思いますが、すでに政府による流通規制があり、これはなかなかうまくいっていません。「新型インフルエンザらしいと思ったらすぐに受診を」と政府は宣伝しているわけですから、責任をもって対応してもらわないと。確保できるよう、いくつかのチャンネルで交渉中です。
新型インフルエンザの流行規模は季節性インフルエンザの2倍程度だとか。毎年のインフルエンザ流行時にはパンク寸前にまで外来患者数が増えるのですが、さらに多くの患者さんが来られるとしたら同じような診療スタイルでは対応できません。システムの改善・改良のために、ない知恵を絞っている最中です。
持ているすべての力を傾注し、新型インフルエンザ流行に立ち向かっていこう・・そんな気持ちだけは持っています。でも、それは風車に突進するドン・キホーテなのかも。
投稿者 tsukada : 2009年08月30日 17:03