2009年10月06日
隔離棟は開店休業
急ピッチで工事を進めてもらった隔離棟が先日完成し、昨日から使用しています。幸いなことに、今のところ新型インフルエンザ患者さんの発生が少ないので、まだ利用はゼロ。「開店休業」です。
代わりに来院された方々に見学をしてもらっています。いわば「内覧会」。流行が本格的になってくると簡単には見ることができませんので、今がチャンス!
感染症の患者さんに入ってもらうためにいろいろと工夫をしています。手洗いの水洗は自動ですし、手を触らなくても開け閉めできるドアが何カ所かつかっています。何よりも、具合の悪い子どもたちに使ってもらうのですから、少しでも居心地が良くなるようにしました。
今春、新型インフルエンザが流行し始めたころの映像が思い出されます。「発熱外来」という名前の専用診療スペースが作られていましたが、テントを置いただけのところもありました。まるで運動会のよう。あまりに粗末に見えて、こりゃひどいんじゃない、って思いました。
インフルエンザは高熱とともにだるさ、寒気、頭痛、関節痛、筋肉痛などの全身症状が強い病気です。普通の風邪をひいて熱があるだけで具合が悪くなりますが、インフルエンザはその比ではありません。大きな子どもでも自分で歩いてこれないほど。
これから季節は冬に向かいます。新潟は雪国。外は雪が降り、ときには吹雪いてきます。そんなときに、戸外に設置したテントでお待ちいただいたり、診療したりなど、とてもできません。それなりの施設は絶対に必要です。
日本は経済大国だとか、先進国だとかいっているクセに、インフルエンザ診療にテントを使うなんて、全くおかしな話です。せめてプレハブでもいいから、雨風がしのげて、暖かくしていられる場所を作ってあげたいものです。
当院が「隔離棟」を建設してのも、そんな思いがあったからです。隔離できるスペースが必ずしも十分ではなかったということがあり、別に施設を用意することにしたわけですが、そこそこにちゃんとした建物でなければ、患者さんに利用してもらうのが申し訳ない。そんな気持ちでした。
いったん思い込むと後先(あとさき)を見ずに突っ走るのは、どうも私のいつものことのようです。この「隔離棟」の建設も、設計図を引き、建築確認が出るまで1か月半ほど。契約の当日に工事開始、基礎工事から上棟式まで1か月。そしてそこから1か月で竣工、そして利用開始。・・構想から完成まで4か月たらずでした。
おそらく建設業界ではありえない工期でしょう。ギネスブックにでも載せてもらえそう?
これでも新型インフルエンザの本格的な流行が始まったらどうしようとヒヤヒヤしながら、工事を見守っていました。工事関係者は、別も意味でヒヤヒヤしていたのでしょうね、きっと。でも「院長のわがまま」に最後までつきあっていただいた工事関係者に、あらためて感謝です。
せっかく作ったのに利用がないなんて・・などと思われるかもしれませんが、「開店休業」状態は歓迎すべきこと。大目に見てあげて下さい。
投稿者 tsukada : 2009年10月06日 21:36