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2010年05月17日

日本脳炎予防接種再開

 日本脳炎(日脳)予防接種が事実上中断して5年ほどになります。この間、接種を受けていない子どもたちが多くなり、いつ日本でも日脳の患者発生がでてもおかしくない状態になってしまいました。

 昨年、より副作用の少ないワクチンが発売され、ようやく接種が再開されています。厚労省の通知によって、自治体からは3歳児へ接種の案内が出されていますが、それ以外の年齢(7歳半未満まで)の子どもたちも接種を受けることができます。

 5年ぶりということで、多数の子どもたちが接種に来られることを予想し、土曜午後に日脳予防接種だけを対象としたワクチン外来を開設しています。先週土曜(15日)がその初日。さっそく数十名の子どもたちが注射に来られていました。

 ワクチンの効果というのはすぐには現れません。また「病気にかからない」「軽くすませる」ということですので、目に見えてその効果を実感できるわけでもありません。

 これが例えば抗生物質であれば、それを使うことで感染症が治り、熱が下がったり、咳が軽くなったり、腫れがなくなったりと、「確かに効いている」と実感することができます。ワクチンにはそんな劇的な効果はありません。

 でも、長い目で見れば、周囲にある種の感染症が流行してもそれにかからないということで、間接的かもしれませんが、やはりワクチンの効果を知ることができるはずです。広く日本全体で見れば、ワクチンを受ける子どもたちが増えることで、その感染症の患者数は減少していきますので、患者数を把握するという調査を通してワクチンの有効性を確かめることもできます。

 予防接種が中断している間に日脳にかかる患者さんが大幅に増えたというデーターはないようです。でも免疫をもたない子どもたちが大半になっている状況は、とても危険。いつ発生してもおかしくない・・そんな危険な状況です。

 新しいワクチンによって接種が再開されました。まだ受けていないお子さんは、ぜひこの機会に接種を受けていただくよう、お願いいたします。

 当院の土曜午後の専門外来は6月末まで続きます。お近くの方はどうぞご利用下さい。

投稿者 tsukada : 2010年05月17日 23:59