2010年12月22日
年末調整・・不可解なるもの
事業者にとって年末は何かと忙しいのですが、その1つに「年末調整」があります。従業員の所得税を年間で計算し、確定して調整するというもの。
その年末調整の業務を先日のある休日に半日かけて行いましたが、毎年感じること・・なんと不可解な制度かと。
私にとってはけっこう手間取る仕事です。1年に1回しかしません。昨年も、それより以前にも行っていることではありますが、1年経てば忘れています。「年末調整」とは何か、どのように計算すればいいか、など基本から再確認しなければいけません。
1年経つと変わっていることもあります。毎年の税制改正を反映させなければいけないのですが、その内容の細かいこと。さらにそれを説明している文書のわかりづらさ。さすがお役人です。自分たちは分かっているのでしょう。そして正確さを期するのであれば、その書き方も仕方ないでしょう。でも相手がみな税務に精通しているわけではありません。素人相手に、よくもこんな文書を書いて読ませるものだと、あきれます。
毎年やっていることとはいえ、ほとんど一から始めなければいけないので、個々の職員の計算をするというスタートラインに立つまでにまず手間取ります。
当院の顧問税理士が今年から替わったことも関係があります。事務の手順が違うようなので、少々手間取りました。
そんなこんなで職員の年末調整を終え、それを反映した今月分の給料を計算しおえるのに数時間がかかりました。年末の忙しい時に、この年末調整はその忙しさを倍加させてくれます。
きっちりと仕事を片づけると「達成感」があり、すっきりするものです。でもこの「年末調整」はそうではありませんでした。そもそも事業主がするべき仕事なのかと疑問があるからです。
毎年のお給料から所得税を計算し、天引きしています。それが「源泉徴収」です。国税庁の指示するとおりに事務を行い、給料から徴収し、それを本人に代わって翌月10日までに税務署に納税します。毎月のことをきちんとやっているうえで、年間を通しての所得税を再計算し、その過不足を本人からもらったり、戻したりします。それって、ほんらい税務署の行うべき仕事でしょ。
あるいは税金を納める立場の国民の一人一人が、自分の所得から年の納税額を計算し、それを税務署に申告し、税のさらなる支払いをするか、還付を求めるべきだと思います。
憲法には国民の義務の一つとして納税がかかれています。その事務手続きを、ある程度は国民自らが行うべきでしょう。税金の納入は、基本的には国(または地方公共団体)と国民との間で行われるべきもの。それを事業者に押しつけることで、サラリーマンからは確実に納税させることができ、自らの業務負担を大幅に軽減できるシステムとして、事業者による年末調整というシステムが考案されたのではないか。そんなふうに勘ぐってしまいます。
本来国のやるべき仕事をしたのだから、それに対する報酬があってもいいんじゃない? 数時間を費やし、さらにパソコンのソフト代金、顧問税理士の報酬など、それなりの金銭的負担がかかっています。
私も開業医として診療所という事業を行っているので、こういった税務関係の事務も仕方ないとは思っています。でも、税金の計算をするために医者になったわけではありません。もっと医者らしいことをさせてもらえるのなら、もっとがんばれるのに。そして、医者以外のことをせざると得ないのであれば、それなりの報酬とか、ご褒美とかがあってもいいのではないかな、などと思ってしまいます。
少なくとも、税務署の方々には、あなたたちの事務を代行する形で仕事をしているのですから、お礼の一言もあってもいいのではないのかな、などとも思います。時間給をよこせとまではいいませんから(医者としての私の時間給は、けっこう高いですよ)。
投稿者 tsukada : 2010年12月22日 23:59