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2011年06月28日

新しい一歩

 当院に併設しているわたぼうし病児保育室では、病気やケガなどのために登園・登校できず、ご家庭での保育も難しいお子さんをお預かりしています。親御さんがたの強力な味方になっていると自負しているところです。

 当院が子育て支援にも力を入れようと考えたのは、開院から5年たったころでした。小児科診療所として一定の役割を果たせるようになってきたなかで、地域の親御さんがたのお役にたてることはないだろうかと考えました。

 当初は「乳児園」も1つの案でした。以前、主に赤ちゃんを預かる共同保育園の運営に参加したこともあり、その必要性が大きいことを知っていたからです。でも、小児科医である私がしなくてもいいかな。むしろ小児科医でなければできないことは何か・・そんなふうに突き進めていったところに「病児保育」が見えてきました。

 当時はまだメジャーな存在ではなく、おそらく日本中でも100か所はなかったでしょう。新潟県内ではもちろん皆無。なんな中から始めるのは、やはり大変でした。生みの苦しみを味わいながら、私自身が病児保育を実際に始めるにはそこから6年ほどの期間が必要でした。

 2001年に開設したわたぼうし病児保育室が、今月で10周年を迎えたことをこの「院長ブログ」でも何度か紹介している通りです。今では地域の子育て支援のために、なくてはならないものに育ってきたと思っています。

 当院の病児保育の歴史に、今日1つの新しいページが加わりました。在宅医療を受けているお子さんをお預かりしたのです。慢性の疾患をもち、24時間の看護と治療が必要な赤ちゃんです。ご家庭でケアを受けていますが、ご家族の都合で一時的にお預かりし、保育士、看護師らとともにケアをしました。

 狭い意味での「病児保育」にはあてはまりません。通常は登園・登校しているお子さんが対象だからです。上越市から委託を受けている市の制度としての病児保育事業の対象外です。

 しかし、親御さんが困っているときに手助けをすることが本来の私たちの役割です。制度からこぼれ落ちるケースに柔軟に対応することが必要ですし、それができるのが民間の良いところです。

 これまでも制度としての病児保育の枠を超えて、お子さんをお預かりしたことはたびたびあります。専業主婦のご家庭で、お子さんが具合が悪くなり、お母さんも病気でダウンしてしまったケースもありました。その時々で必要なニーズを満たせるようにしてきました。

 高齢者ほどではありませんが、子どもたちの在宅医療もしだいに必要性が増しています。重症であったり、特殊な病気を持っていたりするために、入院施設のある病院の小児科で対応していることが多いことでしょう。しかし、いずれ私どものような小規模な小児科でも対応することが求められるようになってくると思います。

 そんな小児の在宅医療に、ほんの一瞬の手助けではありましたが、参加させていただきました。今日はわたぼうし病児保育室にとって、いや塚田こども医院にとって、新しい一歩を踏み出したと言っていいかと思います。

 今日の赤ちゃんも可愛かったな。ケアを受けながらも、一生懸命に泣くし、私たちの相手もしてくれる。笑った顔を見ていると、こちらがあやしているのではなく、赤ちゃんにあやしてもらっているかのよう。

 これだから小児科医はやめられません。これからも在宅医療にも頑張っていこうかな、って思った一日でした。

投稿者 tsukada : 2011年06月28日 19:19