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2012年02月26日

時代は変わりました

 このところ「不活化ポリオワクチン」について聞かれることが続いています。

 20日には地元紙「新潟日報」の記者の方が来られました。特集記事として読者に情報提供したいとのこと。昨日(25日)の紙面に掲載されました。

 ワクチンの医学的情報は小児科教授が、行政の立場は県衛生部の課長がそれぞれインタビューに応える形で提供されました。私は実際に接種する小児科医の立場からお話をさせていただきました。

 当院に取材に来られた際に、不活化ポリオワクチンの接種を受けられた3人のお母さんにもインタビューを受けていただきました。ポリオワクチンを巡って思い悩んでおられる親御さんの生の声が、きっと取材に役立ったことでしょう。

 23日にはローカル局のテレビ新潟のクルーの方が来られました。視聴者の方から不活化ポリオワクチンについて質問メールが寄せられて、それに応える形で私がテレビカメラの前でお話しました。

 放送は翌24日にありました。夕方のその時間は、ちょうど外来診療中で見ることができなかったのですが、その後、予約電話がはいったり、感想のメールを直接いただいていますので、不活化ポリオワクチンについて説明するという基本的な役割は果たせたようで、ホッとしています。(留守録しておいたはずなのに、なぜか録画されていなくて、実は放送は見ていないのですが・・)

 副作用との関係から、経口生ポリオワクチンを敬遠する傾向が強くなっていますが、ワクチン関連マヒは周囲のお子さんにも発生する可能性があります。生ワクチンを受けないから安全ということではありません。

 ワクチンのことを真剣に考え、悩み、その結果、生ワクチン接種を控えても、副作用としてのワクチン関連マヒからは逃れられないという状況は、やはり問題があります。小児科医としては、やるせない気持ちです。

 当院が不活化ポリオワクチンを始めた理由には、そんな親御さんのお気持ちに応えたいという思いがありました。先週二つのメディアに出させていただきましたが、私どもの真意をよくご理解いただき、またそれを視聴者や読者の方々に伝えていただいたように思います。

 かつてメディアは、ワクチンは悪の存在であり、ワクチンで何かトラブルがあれば鬼の首をとったかのように、行政や医者を悪者扱いにしていたものです。批判するのがメディアの役割だと言えばたしかにそうでしょうが、その一方でワクチンを軽んじ、否定する傾向が強まったことは否定できません。

 そんな時代をたっぷり経験してきていますので、私のような者がワクチンについてメディアでお話し、それをそのまま使っていただくなどということは、嬉しいですし、隔世の感があります。

 時代は少しずつかもしれませんが、変わってきています。そう感じました。

投稿者 tsukada : 2012年02月26日 11:33