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2013年02月24日
もう一つの次郎物語
今日のニュースです・・「『次郎物語』ゆかりの史跡・空林荘、全焼 東京・小金井」。
さほど大きな記事ではありませんし、地理的にも離れています。でも・・私は反応しました。まあ、同じ名前だってだけなんですが。
「次郎物語」の作者、下村湖人が実際に暮らしていて、作品もモデルにも使われた住居なのだそうです。小金井市の史跡に指定されていて、そこそこに有名のようです。
「次郎物語」と私との関係・・もう分かっちゃいますよね。そうなんです、私の名前はこの小説からとったのだそうです。両親がそう話していました。
中学生の頃、自分の名前の由来を親に聞いてくるという宿題がありました。その時に教えてもらいました。私が生まれたころ、ラジオの朗読番組で「次郎物語」が流されていたそうです。まだテレビが普及していない時代で、このラジオ番組は好評だったようです。
なら、ちゃんと読んでみなくちゃ。自分のルーツがあるかもしれないのだから・・中学時代に読んでみました。でも、正直にお話しすると、とても好きにはなれませんでした。あまりに暗すぎるのです(私も本質はネクラだから、合ってはいるのでしょうが)。
幼少期に養子にだされ、貧しい中で育てられながら、その後実家に戻される。そこから次郎のつらい生活が始まる・・。
こまかいことは覚えていませんが、悲しさとやるせなさで読み進むことが難しかったことを今でも覚えています。
「次郎物語」は全部で五部まであります。中学の時に読んだのは一部だけかな。世に有名なのもこの一部のようです。
高校時代、もう一度「次郎物語」を読んでみました。一部から五部までの全てを。まだ幼いころの次郎が、小説が進むにつれて成長し、第五部は思春期になっていました。時代は軍国主義が高まり、日本が戦争に突き進む中で、自分の存在について、あるいは進むべき道について深く悩み、社会の矛盾をしだいに考える次郎がそこにはいました。
時代背景も、生活の様子も暗いのですが、でもそこには成長しつつある次郎がいました。ただ境遇をかわいそうに思い、涙するだけの小説ではなかったのです。
「次郎物語」と私・・ただ人気小説だから名前をもらったのではない。私の名前にこめた深い思いがあったのだと、その時に気づくことができました。
自分の名前にもプライドをもつことができるようになったのは、「次郎物語」を全て読んだからでした。
そんなゆかりのある作者、下村湖人の住んだ住居が焼けてしまったニュースは、やはり悲しいですね。一度ちゃんと見学に行っておけば良かったな(>_<)
投稿者 tsukada : 2013年02月24日 21:06