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2013年08月23日

花火大会で大事故

 先週、京都での花火大会会場で、ガソリンが爆発して大惨事がおきました。数十人が負傷しましたが、その後3人の方が亡くなりました。10歳の男の子もその中に・・心が痛みます。

 大事故のきっかけは「発電機」「ガソリン携行缶」・・その間違った使い方が原因でした。これらは一般によく使われています。露天のような業務としても。レジャーで使うことも。そして、当院でも災害時対応として、それらは複数用意しています。

 日常的に使ってはいませんが、いざという時には稼働させますし、日ごろから練習や機械のメンテナンスのために週に1回は動かすようにしています。

 もし操作ミスで今回のような事故をおこしてしまったら大変です。その意味でも本当の原因がなんだったか、ぜひ知りたいと思っていました。

 当初言われていたことですが、発電機を停止させずにガソリン補給をしようとしたからだ、というのは違っていました。もちろん運転中に補給してはいけないわけで、この点は当院でも気をつけていきたいと思います。(でも、通常は発電機のガソリンがカラになり、止まってしまってから補給するので、運転しながらの補給はないはずです)

 携行缶の圧力を下げないまま給油しようとしたのがいかなかった、とも言われています。この点も少し違うような印象を持っています。缶には注ぎ口の他に、小さな空気流入口があります。そちらの方を先に開け、中のガス化しているガソリンを排出させなくてはいけない、ということですが・・。

 実際に扱うことがありますが、中の圧力が高くなっていると、小さな「空気抜き」を開けると、揮発したガソリンが飛び出してきます。この時、隙間を小さくしていると霧状のガソリンがより遠くまで飛び散ってしまう可能性があります。逆に大きな給油口を先に開けると、中の気化したガソリンは一挙にでてくるために、遠くに飛ぶ可能性は少なくなります。

 今回の事故では、なぜ大量のガソリンを噴出させてしまったのか、疑問でしたが、新聞報道でそれが解けました。読売新聞の記事に「ガソリン缶に排ガスの熱風5時間」とありました。発電機にすぐ隣におかれ、その排ガスで長時間、ガソリン缶が熱せられたいたという証言があるのだそうです。

 さらに炎天下で野ざらしにもなっていました。それらが相まって、携行缶と中のガソリンはそうとうの高温になっていて、蓋をあけた瞬間に、大量のガソリンが飛び出してきたものと思います。

 朝日新聞の記事からは、その場の状況をよく理解することができました。証言から作成した現場の図も載っているのですが、発電機も携行缶も観客のすぐ隣におかれていました。というよりその周りに観客が取り巻いている状態でした。

 記事にはこんなことが書かれています。まず屋台の店主が携行缶を開けたとき、ガソリンが噴出して、隣の客を直撃。それに慌てた店主が立ち上がり、携行缶を持ち上げると真上に2〜3メートル吹き上がった。その缶を、左に90度回転させたために、扇状にガソリンを吹きかけてしまい、多数の観客がガソリンを浴びた。(ここまではまだ火がついていない)

 その後店主は観客の間を通って、その前面の人がいないところに携行缶を運んだ。そのすぐそばに屋台の調理器具があり、それに引火。たちどころに、先にガソリンをかぶっていた人たちが炎につつまれることになった、ということです。

 これらが事実だとすれば、この店主がガソリン携行缶の扱いを誤り、その後も判断や対応を間違えたことが直接の原因です。私たちの日常でよくみかける道具が、かくも大きな事故を起こすことがあることを、しっかり心に刻んでおく必要があります。

 このような露天が出たりして、発電機を使うようなイベントは、花火大会だけではなく、一年中しょっちゅう行われています。同じような事故がおきないよう、きちんとした対策をとらなければいけません。ではどうするか・・。

 基本的には、多数の方が集まるイベントでは、発電機を使わないことを原則にすべきだと思います。それが唯一の解決方法で、さらに確実な方法です。

 市街地に近いところでは、通常の商業電力を使いましょう。臨時に電線を設置し、それぞれの露天に使ってもらう。もし商業電力が使えないようなら、主催者が大きな自家発電装置を用意し、そこから配線をして店で電気を使う。

 別に難しいことではありません。すでにそうしているイベントも多いことでしょう。

 今回の事故について、主催者は自分たちに責任はないという発言をしているようですが、きちんとした環境を整えず、結果として発電機や携行缶を観客の中に置かざるをえない状況を作ったという意味で、責任を逃れることはできないのではないか、と思います。

 それに発電機ってとてもうるさいです。それをそれぞれに露天商が自前で用意し、客のすぐ近くで使うなんて、火事や爆発の危険はなくても、大迷惑なことです。その点でも、花火を多くの方に気持ち良く楽しんでもらおうと取り組んでいた、とは考えにくいです。

 いずれにしても、このような事故はまたおきてしまいます。それを防ぐために、徹底した事故検証と、今後の対策についてしっかりと議論し、取り組んでいくことが求められます。

 多くの方が悲惨な体験をし、少なくない犠牲者を出してしまった事故・・もう二度とくり返さないことが、亡くなってしまった方々への弔いになるのかな、と思っています。

 被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。

投稿者 tsukada : 2013年08月23日 18:33