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2013年12月19日
残念な人たち(2)
昨日のブログで「猪瀬知事は辞職せざるをえないだろう」と書きましたが、その通りになりました。今日、その発表がされました。
理由は不正に金を受け取ったことではありません。このままでは都政が停滞し、混乱してしまうから。その原因を作っているのは、自分の不誠実な態度なのに・・。
知事を辞職することで、都議会での追及はこれで終わりますが、刑事責任を問われる可能性もあります。真実は何であったのか、それを明らかにするのが裁判所だけであるとしたら、ぜひ法廷の場に猪瀬氏を立たせたいと思います。
さて、今回のもう一人の当事者である徳田虎雄氏も、残念な人といわざるをえません。徳之島出身。幼いころにきょうだいを病気で失い、そこから医師をめざし、さらに離島医療の充実のために奔走してきた方です。
とてもエネルギッシュな人でした。私が学生のころ、すでにその名を知らない医療関係者はいない、というくらい有名になっていました。
私たち医学生のグループが行っている勉強会に、時の人=徳田虎雄氏をお呼びし、お話をお聞きする機会がありました。超多忙であり、またただの医学生相手に来て下さるか心配していましたが、実現しました。
正直に言うと、彼の話した内容はよく覚えていないのですが(きっと日本の医療制度を作り替えるということも言ったのでしょう)、その時の様子は今でも覚えています。
赤ら顔で、ちょっと肥満気味。みなぎるパワーが全身からあふれてきそうな様子です。汗だくになりながら、熱弁をふるい、学生との間でやりとりをしていました。
彼なりの理想とする医療像があり、それに近づけるよう、自らも努力し、同じ志をもつ医師を集めて、大きな動きを作っていました。話し方に圧倒されながら、彼の話にのめりこみながら聞いていました。
でも若干の疑問もありました。あれだけのパワーは、徳田虎雄氏だから持っているのであり、あるいは大多数の医師はそこまでのチカラを発揮することはできないだろう。
医師は、まずは医師としての技術をきちんと学び、身につけ、それをもとに目の前の患者さんの治療にあたる・・その基本を忘れてはいけないし、それなくして、良い医療の体制はできないだろう。
いくら声高(こわだか)に叫び、自分を鼓舞し、他人を𠮟咤するだけでは、良い医療は生まれてはこないのではないか。
実は、彼の医師としての能力はどうなのかな?などと、医学生らしい疑問もありました。すでに医者ではなく、政治家になっているかのような様子だったからです。(ぜひ聞きたいと思いながら、質問する勇気はありませんでした・・)
徳田虎雄氏が率いる徳洲会グループは、その後さらに拡大し、全国で病院を作り、様々な形でその地域の医療に貢献してきました。離島だけではなく、地方でも、そして都会でも。日本の医療の中で、一定の重要な役割を果たしていると言っていいでしょう。
しかし残念なことに、政治家になりきった徳田虎雄氏は、自らの選挙や、引退後は子どもの選挙のために、グループを利用しました。資金も、人材も、そして患者さんという票田も。
良い医療体制を作るために政治家にまでなったのでしょうが、途中からは政治家をささえるために徳州会は存在する、という逆転の構図になってしまいました。
あげくに、自分や家族たちのために巨額の蓄財をしていたようです。徳洲会グループは、選挙のため、そして徳田ファミリーのためにあるかのように利用して・・。
晩年、ALSという難病に冒されたのは不運なことですが、それでもなお、グループの頂点に君臨し、政治にも選挙にも自ら指示をだしつづけていたとのこと。
最初にお会いした時の印象・・とにかくエネルギッシュな様子は、ちっとも変わっていないんですね。でも、肝心なのはその中身なんですよね。
当時、医療改革の第一人者として見られていましたが、どこか相容れないところがあるといった、私のフィーリングは、あながち間違いではなかったようです。
あれだけのエネルギーを、もっと良い方向に使えばよかったのに。彼もまた「残念な人」でした。
投稿者 tsukada : 2013年12月19日 22:30