2015年05月15日
テレビのお仕事
今日は少しだけテレビのお仕事を。日本テレビの「every」というニュース番組から取材を受けました。
昨日、タバコが小学校の給食に混入するという出来事がありました。事故なのか、事件なのか。まだその真相は分かっていませんが、あってはいけないことです。
とりあえず児童に健康被害は起きなかったということで、大事に至らなかったわけですが、タバコの害について教えてほしいということでした。
確かにときどきタバコを口にしてしまった子どもを診察します。年間数名は必ずいます。みな、家庭内でおきています。子どもの手の届くところに大人がおくからです。
でもほとんどは無症状。少しでもタバコをかじると、決して美味しい物ではなく、苦いためにすぐに吐き出します。そのまま飲み込むことはまずないでしょう。
タバコの葉には多量のニコチンが含まれています(大人の致死量はタバコ2本分、子どもでは1/2〜1/4本ほど)。しかし水に溶けにくい(難溶性)ため、仮に葉っぱのまま飲み込んでも、ただちにニコチンが体内に吸収されるわけではありません。
ニコチンが少量でも吸入されると吐き気がおき、吐いてしまうことでしょう。それでほとんど出てしまえば、とくに胃を洗う必要はないでしょう。
ただし、すでにニコチンが水に溶けていればとても危険。たとえば灰皿の中に入れておいた水や、空き缶を灰皿代わりにしていて、その中にジュースなどが残っていた場合は、すでに高濃度のニコチン水溶液になっています。ほんの少量でも致死量になるかも。そして瞬時に体内に吸収されるので、極めて危険性が高いのです。
今回問題になったものでは、ニコチン量はほんの少量でしょうから、健康被害に至ることはなかったわけですが、実は似たようなことが、喫煙者のいる家庭ではどこでも生じうることです。むしろその点をよく分かってほしいです。
そんなお話を、電話取材を受けてお話をしましたが・・実際のテレビで使われたのはほんの少しだけ。でもタバコの危険性については、伝わったかな。
急きょ受けた取材ですが、多少なりともお役にたてたようですね。良かった。
番組の中では「詳しい専門家」という紹介でしたが、ちょっと恥ずかしいですね。毎日、小児診療の第一線で頑張っているだけですので。
※同じインタビューが、次の日曜日(17日)の「シューイチ」という番組でも使われるそうです。ご興味のある方は、どうぞご覧下さい。
投稿者 tsukada : 2015年05月15日 19:48