2015年06月16日
国土強靱化
政府は「国土強靱化」を一つの政策にしています。財政的には厳しいけれど、災害などに強い国を作るためには、財政出動もする、というものです。
かつての民主党政権時代に「コンクリートから人へ」という政策を打ち出しました。日本の財政規律を高めるためでもありました。
再び自民党政権になり、ずいぶん様相が変化。国の財政は大赤字だけど、景気を良くするためには大規模な支出もいとわない。ただ、かつてのようなばらまきになるといけないので、一定のワクを作りました。それが「国土強靱化」という考えです。
災害に強い国土を作る必要はある。そのために必要な支出はしっかりとする、というもの。
名目はそうでも、実際にはダム、道路、河川工事などに多額の支出をすることになりました。実質は、以前のスタイルと変わりありません。再び「人からコンクリートへ」と逆戻りと揶揄されました。
そんないきさつで「国土強靱化」は政府の大きな看板仕事になったわけです。それを担当するのが国交省ではなく、内閣府だということからも、そんな理由からなのでしょう。
昨年、この国土強靱化に資する民間の取組をまとめるということになりました。広く公募があり、当院でおこなっていることを情報提供していましたが、当院の事例が取り上げられることになりました。そして本日、その事例集が公表されました。
政府のウエブ上で見ることができます(下記のサイトです)。この中の「事例番号054」が当院です。
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokudo_kyoujinka/minkan_torikumi/
ただ、とても情報量が多いので、なかなか探せないかも。なので、当院だけの抜粋を作りました。
https://www.kodomo-iin.com/Resources/kokudo.pdf
(このHPのトップページにもリンクを作りました)
ここで紹介したのは、当院の薪ボイラーを中心とした自然エネルギー利用のシステム。薪というバイオマス燃料が冬場の暖房に大いに寄与しています。薪は国内で作ることができますし、燃焼させても地球上の二酸化炭素を増加させません(木材が育つ過程で吸収していたCO2を、再度放出しているだけ。カーボンフリー)。エコで有り、自前調達が可能な燃料です。これを普及させない手はありません。
さらに災害時の対応も、多重的に行っています。発電機の整備、非常時の冷暖房設備。さらに断水時でも地下水を利用することで水洗トイレが使用できるシステム。こういったものを駆使することで、「ノンストップ診療所」を目指す取組を続けてきました。
今回受けた取材の中で、一番興味をもってもらったのはこの水洗トイレでした。下水道が破壊されている状況では使えませんが、断水しているだけの時には、流す水があれば水洗トイレは機能します。問題はその水の確保。そこで考えついたのは地下水の利用です。
ここは雪国ですので、冬場の消雪設備はしっかりしています。当院にも全部で6台の揚水ポンプがあります。それを利用すれば、いつでも水洗トイレが使えます。非常用の発電機とつなげてポンプを動かし、トイレ室の天井裏に設置したタンクに地下水をくみ上げます。そこからは自然落下で水洗トイレに流せば、十分に用が足ります・・用がたせます(^^;)
この方法は雪国はどこでも使えます。既存の設備を少し改造するだけでできるでしょう。何といい案だと自画自賛しているのですが、こういった設備を作ったという話は他からはあまり聞こえてきません。
災害時の対応で、トイレって大切ですよね。大々的に取り上げてもらって、広く普及するといいな、などと思っています。
そんな思いもありますので、今回、政府が当院の取組を取り上げてくれたことを、とても嬉しく思います。
他にも多数の事例が掲載されていますので、いろいろと役に立ちそうです。私も他の事例に目を通してみるのが楽しみです。
※表紙をアップしましたが、その下の真ん中に赤いボイラーが見えます。これは当院のものです。これもちょっと嬉しいです(*^_^*)
投稿者 tsukada : 2015年06月16日 18:24