2015年08月06日
良心的兵役拒否
日本ではこのごろ、きな臭い臭いがしてきています。若者に対して、戦争に行きたくないという利己的な考えからデモをしている、と非難する国会議員まで現れました。
自民党の武藤氏がツイッターで〝つぶやいた〟そうです。以下、その全文です。
『SEALDsという学生集団が自由と民主主義のために行動すると言って、国会前でマイクを持ち演説をしてるが、彼ら彼女らの主張は「だって戦争に行きたくないじゃん」という自分中心、極端な利己的考えに基づく。利己的個人主義がここまで蔓延(まんえん)したのは戦後教育のせいだろうと思うが、非常に残念だ。』
日本が集団的自衛権の名のもとに戦争ができるようにする法案に対して、反対を表明していることに対して、この程度のことしか考えていない、という時点で、お粗末です。むしろ、こんな程度の国会議員を作ってしまった戦後教育の皮相さを問題にすべきかもしれません。
だいたい、この法案は「日本が戦争に巻き込まれないようにするためのもの」というのが、政府の主張ですよね。なのに、こんなふうに言えば、やっぱり戦争になることを覚悟しろ、っと言っているように聞こえます。
さらに、もし戦争になっても今の自衛隊員だけで十分であり、徴兵制になることなど、ありえないとも言っていますが、それも疑わしい。本心は、いつでも兵士が足りなくなれば、いつでも徴兵制を導入するつもりなんだ、と読めてしまいます。
このような発言が与党内から公然とでてくることが、まずおかしいし、それをとがめようとしない政府や自民党はどうしたんでしょう。やっぱり同じ考え・・日本を戦争できるような国にし、必要な時には若者を徴兵できるようにする、という考えがあるのではないか、と疑ってしまいます。おそらくそうなのでしょう。
私も、ある意味で同じ考えです(もう若くはないので、徴兵されることはないでしょうが、だからと言って、この問題を看過することはできません)。
武藤氏が言うように、私も「戦争に行きたくない」。そう強く思います。自分が兵士になるなど、考えられません。戦争に行けば・・自分が殺されるかもしれない。絶対にイヤです。
でも、それ以上に、相手を殺すことももっとイヤです。絶対に人殺しはしたくない。たとえ自分が殺されてもイヤです(その場になると、また違った行動になるかもしれませんが)。
それは私の基本的な思いです。医師として毎日仕事をしていることにも通じます。それは一生守っていきたい。特別な宗教を持っているわけではありませんが、でも大切にしたいと常々考えています。
世界には「良心的兵役拒否」という考えがあります。国が戦争をしているとき、自分の宗教上などの理由から、兵役を拒否することができるという考えです。その分は一定の労役が課されることはあっても、迫害されたり牢獄に入れられたりすることはありません。
人間の基本的人権である「良心の自由」が、良心的兵役拒否を一つの人権として保証しようというのが、その考えなのだそうです。いわゆる先進国にはすでに法律があるそうです。
日本には法律はありません。まだ考え方も一般的ではないかもしれません。そして、残念ながらそんなものは一切認めないよ、というのが、権力を持つ人々の本音のようにも見えてきます。
武藤氏は学生に対して、「だまされている」と言ったそうです。でも本当にそうでしょうか。物事をより深く考え、その本質を見抜いているからこそ、行動をしているように思えます。
このツイッターの文面には「誰がだましている」のかは書いていませんが・・政府や自民党が一生懸命にだまそうとしていて、それがうまくできずに焦っている、そんなふうに思えてきますよ。
投稿者 tsukada : 2015年08月06日 14:14