2017年04月22日
ワクチン拒否
地域で活動されている方からご相談を受けました。その方が関わったある方が、ワクチンは害になるだけだから子どもには受けさせない、と。困ったことです。
私自身も今週、市の乳児健診でワクチン未接種の複数のケースを経験したところです。予防接種の必要性については次第にみなさんに認めていただいていると思っていたので、ショックでした。
私たち小児科医が、もっと親御さんにお話をして、納得していただく必要もあるように思います。でも、そういった方々はなかなか耳を貸してくれません。気が重いです。
とりあえず、ご相談に対して次のように返信しました。
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頑なに予防接種を否定される方がおられます。私達も対応に苦慮しています。一般の方がこんなことに心を痛めていただき、申し訳ないです。
例えば、かつて麻疹などで次々と子どもが亡くなったり、重い後遺症を残したりしていたのを、もう忘れてしまっているようです。ワクチンが多くの子どもたちの命を救ってきました。そのことをどう考えているのでしょうか。
ワクチンは生体にとって異物ですから、思いがけない反応は起こりうることです。ただ、そのリスクより、期待されるベネフィットの方がはるかに大きいです。これは事実です。
もしワクチンを受けなければ、本物の感染症にかかる可能性があります。それによって不都合な状態になるのはその子です。それについて、親が責任を持てるのでしょうか。疑問です。
多くの方にワクチン接種を受けてもらうことによって、感染症の流行が終息してきました。結果として、ワクチン接種を受けなくても、感染症にかからずに済むようになっています。一見すると、予防接種の必要性がなくなっているようにも見えます。
しかし、ワクチン接種率が下がれば、また感染症が流行してくることも考えられます。流行っていなくても、予防接種を続ける必要はあります。
あんまり言いたくはないのですが・・ずるいと思います。ワクチンを受けないのは、リスクを取らずにいいとこ取りしているのではないか、と。
ワクチンの副反応があるのは分かっていますが、そうだからと言って予防接種の全てを否定するというのは間違っています。より副反応が弱くなり、より効果が高くなるようにするのが私たちのすべきことです。
まあ、こういったことを素直に理解してもらえるとは思えません。健診の場でこの話をすると、だんだん腹が立ってきます。なので、あんまり積極的には関わらないようにしています。情けない小児科医って思いますが。
ですので、その方の主張には同意することはできないのですが、一方で説き伏せることも私の技量ではできません。ご了解下さい。
投稿者 tsukada : 2017年04月22日 15:14