2019年12月14日
困ったニュース
来年度の診療報酬が、薬価を除いてプラス0.55%になることが、事実上決まった、という記事。現在は財務省が「内諾した」ということで、正式決定するのは来年2月の中央医療審議会です。
何が困った記事かというと、この薬価を除いた診療報酬を「医師人件費」としている点。医療機関の保険診療に関わる収入(薬剤費を除く)であって、医師人件費はその中の一部にすぎません。
医療機関は診療報酬の中から必要な支出をしていきます。人件費をみても、働いているのは医師だけではありません。当院でも、看護師、医療事務員、看護助手、薬局助手、臨床心理士、清掃員、待合室勤務の保育士など、総計20名ほどの人件費が、診療報酬から支出されます。(病児保育室は公的補助を受けているので除いています)
様々な物品も必要です。レントゲン、心電図、超音波、各種検査機器なども全てこの中に含まれています。電子カルテの費用は、けっこう大きな金額です。
直接医療には関係ないものもたくさんあります。電気代、水道や下水道代、暖房のための費用。コピー機や印刷機と、その用紙やインク、トナーの費用。
ティッシュペーパーやトイレットペーパーなんてのもあります。細かいものをあげればキリがありません。
本文の中には「医師の人件費や技術料」という言い方もありますが、それも不正確。まして、見出しで「医師人件費」としているのは、全くの誤りです。
実はこの書き方の問題は以前から指摘されていて、少しは改善されてきたと思っていたのですが。残念です。
こうやって、医師を一般の方から遠ざけようとしたいといった、イヤな意図があるのかなと勘ぐりたくなります。昔からの誤解がまだ残っているようです。困ったことです。
新聞の購読料を値上げする時に、「記者人件費引き上げ」と書いてしまうようなものかも。正確な理解と、誤解のないような伝え方をお願いします!
※誌面は「新潟日報」12月14日付け
追伸 診療報酬から様々な支出が必要だと書きましたが・・
その中に「桜を見る会」や「前夜祭」に関連する支出はないことを申し添えます。
投稿者 tsukada : 2019年12月14日 12:04