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院長ブログ

保険適応してほしいもの(1)

新政権が、不妊治療を保険適応にする方針を打ち出しました。それはむしろ国の補助金などでしっかり手当てした方がいいと、前回のブログに書いたところです。

なぜ医療保険を使おうとしているのか、不審に思っているということも書きました。国の負担を少なくすることを念頭に置いているように思ったからです。

医療保険は「病気や怪我の治療のため」という大きな前提があります(建前)。そのために、健診や予防接種には医療保険を使うことができません。

これも不思議なところなのです。健診をしっかり受け、日頃からの健康管理を適切に行なっていることで、生活習慣病などを起こす率は下がるでしょう。疾病も早期に発見し、治療を受けることができるようになり、医療費は少なくなります。保健財政にとっても「いいこと」のはずなのですが、でも治療のためという「建前」があり、対象ではありません。

予防接種も同じです。子どもたちが多くの予防接種を受けて感染症が減れば、医療財政は支出が減ります。癌を予防するワクチンもあります。でも、やはり病気予防は、医療保険の対象外。

法律による定期接種であれば、自治体が実施者となり、費用は税金でまかなわれるので、本人や保護者の負担は通常はありません。

もしこれらを保険適応にすれば、税金の支出が軽減されます。でも、「建前」があり、これまでは一切拒否してきました。

その一方で、不妊治療は保険適応にしようという。これまで守ってきた「建前」はどこへいったの??

もしそれができるくらいに根本的に仕組みを変革しようというのなら、まずは健診と予防接種を適応にすべきでしょう。

どうも議論が表層的で、人気取りをしているだけのような気がします(それも、安上がりな方法で)。

こんな視点で切り込んでくれる人は、どこかにいませんか?

(次回は、もう一つ、保険適応にしてほしいものがありますので、それを取り上げてみようと思います)