院長ブログ
病児保育、存続の危機
あるローカル局の番組で、病児保育が存続の危機に立たされていると報道していました。私自身がそれをひしひしと感じていることです。
新型コロナの流行が日本で始まった今年3月から、利用者が激減です。当院の施設も、最大で1/4にまで少なくなった月がありました。今でも例年の半分以下が続いています。
おそらくは、新型コロナに限らず、多くの感染症の流行がなくなっているからなのだと思います。実際、外来の受診者も相当少なくなっていますから。
病児保育の支出の大半は保育士の人件費。そして病児保育の特性として、利用者が日々変動します。病児保育を必要としているお子さんを全てお預かりするためには、保育士の配置は利用者数の多い日を想定しておく必要があります。
当院の病児保育室では10名以上の保育士を雇用しています。自治体からは、国の定めたルールで補助金をいただいています。それは概ね利用者数に基づいて決められます。
ここにコロナが襲いかかりました。利用者数の減少から補助金額は激減。一方で、保育士の人件費という支出は同じレベル。当院では年間で数千万円の収入不足が予想される事態にいたりました。
7月に、国は今年度については昨年度と同じ利用者数とみなして補助額を算出してよい、という方針を打ち出しました。当院も市に要請し、市もそうなるよう動いていただきました。
これで一安心。胸を撫で下ろしたところではあるのですが、この対応は時限的なもの。国は12月いっぱいまでとし、その後のことは何も決まっていません(上越市は今年度いっぱい)。
新型コロナはおそらく長期戦でしょう。すぐに元の生活に戻ることはないはず。病児保育の利用者数も、少ない状態がしばらくは続くでしょう。
子どもたちが病気にならないのは、それ自体は良いことです。素晴らしいです。でも、いつかは以前と同じように、風邪もひくし、色んな感染症が流行る時がくるんじゃないのかな。
その時は、これまでと同じように病児保育の求められる状態になると思います。
さて、それまでどうしましょう。今のままでは、保育士を雇い続けられなくなってしまいます。
利用者が少なくなれば保育士を少なくし、また利用者が多くなれば保育士を増やす、なんてことは現実的ではありません。(経営だけを考えればそうなるのかもしれないけれど)
病児保育を専門とする保育士が、社会にたくさんいるわけではありません。保育士の資格をもっていても、すぐに病児保育に携われるのは無理でしょう。
今、新型コロナを専門で診療する病院やベッドを増やそうとしても、そこに従事する医師や看護師がいなくて問題になっていることと、本質は同じです。
雇用主として、保育士の雇用を守るという責任もあります。
そんなことを考え、心配している私だったので、今日の特集は改めて考えさせられるものがありました。確実に私の胃を荒らしてくれましたよ(≧∀≦)
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