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院長ブログ

電話1本で命が・・

先日の「バス内放置」事件の件です。ある保育園で、お迎えのバスの中に幼児がおいて置かれ、夕方気付いた時にはすで死亡していました。

バスでの送迎を1人で行っていたのがまず問題ですし、降車の確認をしていなかった問題もあります。基本的な仕事がちゃんとなされていなかったわけで、保育園の運営が極めて粗雑だったということです。

でも、それだけでは済ませられないように思います。担任の保育士にも問題がなかったのか。

受け持ちの子が登園してこないのであれば(実際には園の敷地内にはいたわけですが)、家庭と連絡を取り、欠席なのかどうか、確認すべきです。あらかじめ連絡が入っていればいいのですが、そうではなく「無断欠席」となれば、何かあったのかな?と心配になるでしょう。

そこで親御さんに電話を1本かければ済むことです。「今日はどうしたの?」「風邪気味なので休ませることにしました」「そうなんだね、お大事に。できれば先に連絡を入れてくださいね」・・そんな会話があって終わるでしょう。保護者は、子どものことを心配してくれる保育士の思いを感じ、園や保育士に対する信頼感が増すこと、間違いありません。

でも、今回はそんな連絡をしていません。無断で休むことがこれまでもあったのでしょうか? そうだとしても、それは良くないことなので、毎回きちんと連絡を取るべきです。保育者が、きっと今日は休みなんだ、と勝手に思い込んだのかもしれません。決して取るべき行動ではありません。その結果が・・受け持ちのお子さんの死につながりました。

直接手を下したわけでもなく、刑事責任を問われることはないかもしれません。でも、プロの保育士として、その資質が問われることにはなるでしょう。

過去にも同様な事故(事件?)が起きています。10年くらい前だったでしょうか、ある勤務医のお父さんが通勤途中に子どもを園に連れて行くことなりました。でも、子どもをクルマに乗せたまま、自分は普通に勤務をし、夕方気づいた時にはクルマの中で死んでいたというものです。

同じ医師であり父という立場にあるものとして、この時の報道は今でもよく覚えています。自分だったらどうかな? 仕事のことを考え始めると、もしかして同じように子どもを同乗させていることを忘れてしまうかもしれない。決して他人事とは思えませんでした。

そんな時でも、保育園から電話をかけていたら、事態は最悪にはならずに済んだはずです。家に電話をし、お母さんが出れば「お父さんが連れていったはずなのに、どうしたんだろう?」。お父さんの職場に電話をかけ、お子さんの救出につながったはずです。

登園途中で交通事故にあうこともあるかもしれません。日本では考えにくいですが、でも誘拐事件があったのかも。

全てのことは、園からの電話1本で解決します。「所在確認」「安否確認」といった意味合いもあります。

保育士が、そんな大切な電話確認をしないということが、信じられません。専門職として、子どもたちを預かり、保育する者として、基本ができていない。そう思います。

私も「わたぼうし病児保育室」という認可外保育施設の設置者(管理者)をしています。保育士には、こういった事例があるとそのたびに話をし、注意を促しています。

実際にあったことですが、利用予約をしたお子さんがなかなか保育室にやってこない。保育士が電話連絡。まず家庭にかけたけど不在。次に親御さんの職場に電話させてもらいました。すでに業務についているので申し訳ないのですが、遠慮はしません。ここで親御さんから「症状が軽快したので、普通に保育園に行かせました」と返事をいただきました。

これで一件落着。保護者の方には「キャンセルの時は連絡をしてくださいね」とお願いしましたが、お子さんが事故にあったなどということもなく、また病気が治っていたのですから、喜ばしい話です。

電話を1本(この場合は2本)かけるだけですが、お子さんの生命や健康について重要な情報が得られます。決して疎かにしてはいけない業務です。

当院でも、これからもさらに気をつけながら、保育にあたりたいと思います。