院長ブログ
日本の保険医療制度は既に崩壊?
日本で保険医療を行うためには、医師は「保険医」に指定され、医療機関(病医院)は「保険医療機関」に指定される必要があります。
定期的に資格の更新があり(医療機関は6年ごと)、その度に「集団指導」を受けることになっています。
私の塚田こども医院は今年が更新の年。
書類上は既に更新の手続きが済んでいますが、厚労省の主催する「集団指導」を受けなくてはいけません。
例年ですと、場所と時間を指定され、2時間ほどの「講義」をうけます。
平日の日中にしか行わないので、その時間帯は休診にして院長が出かけて行くという不都合があります。
これはおかしなことなんです。
医師は求めがあれば診療に応じなければいけないという義務が課されています。
「医師法」に定める「応召義務」です。
また厚労省の「保険医療機関及び保険医療養担当規則」にも同様のことが書かれています。
それなのに、休診を強いるとは。
役人は、現場の医療機関が一定の診療体制を維持することに、どれくらい苦労しているのか、分かっていないんでしょうね。
平日なら夜間に、または週末などの通常休診日になる日に開催すれば、地域の方々に不自由をかけることは無くなります。
誰のための保険医療なのか、役人も考えてほしいものです。
でも今はコロナ禍なので、それをオンラインでの受講に変更されています。
ラッキーです。
1時間半ほどになりましたが、厚労省が用意した講義を拝聴いたしました。
新しいことはなく、この中で新たな知識も、バージョンアップもありませんでした。
「講義を受けた」という事実が必要なので、それでいいんでしょう。
時間の無駄だったようにも思います・・。
(コロナが終息した後でも、ぜひオンライン受講の仕組みを残してほしい)
そんな中で、つくづく考えさせられたこともあります。
建前としての「保健医療制度」は、既に崩壊しているかもしれない、と感じた点です。
日本の保険制度は世界にも稀な「皆保険制度」。
誰にでも保険が用意されています。
(入らないという選択はありません)
そして「誰でも、いつでも、どこでも」医療を受けられるのが制度の根幹です。
でも、今のコロナ禍ではそれが十分に機能しているとは言えない状況です。
発熱しても、病医院にすぐに受診することは、なかなかできなくなっています。
コロナ発生の当初(2年前)は、発熱後4日間は自宅待機し、その後に軽快しなければ受診するようにとの「おふれ」が国から出されました。
(それは国民の誤解だと言い放った、当時の厚労大臣が、また今復活していることは、結局日本の医療行政は根本的な見直しをしていなかったことの証です)
今また、軽症なら受診しないようにと、盛んに言われています。
現場の医師としては、発熱患者が多数受診することで、外来診療が立ち行かなくなることもあり、そう言われることで助かる面も確かにあります。
でも、それは「受診する権利」を侵害していることだということを、重く受け止めなければいけません。
患者さんにとって大切なのは、必要な時に病医院に受診できること。
厚労省が偉そうに(失礼)保険医に講義している「フリーアクセス」です。
それが今、大幅に制限されていることを、どうして問題にしないのでしょう。
受診できない(しにくい)今の状況をどのように解決していくのか。
国(厚労省)からも、いわゆる専門家からもはっきりした方向が伝えられてきません。
それって、おかしいことなんだよ、って、政治家や行政に携わる人たちは気づいてほしいのですが。
なかなか良くなりませんね。
このままでは、本当に医療崩壊から、国民(特に高齢者)の生命と健康が奪われていきますよ。
困ったことです。
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