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院長ブログ

新たな棄民政策??

コロナ陽性者(疑似症を含む)を診療した場合は、これまで全例を国に登録することになっていました。
その作業があまりに過重であり、医療機関や保健所の負担になっているため、見直しをされることになりました。
登録する患者を一部のみにするという「限定化」です。

高齢者、妊婦、入院が必要な人など、重症化要因のある方のみを報告することになりました。
その他の、軽症とみなされる人たちは、年代ごとの数のみ、毎日報告することで足りることになりました。
今日から始まった登録方法です。

写真はPC上で入力するソフト(HER-SYS)のトップ画面。
ここから入っていき、日々の入力を行います。

当院では今日の陽性者は4人。
外来が終わったあと、その数字を年代ごとに入力して終了。
この間に要した時間は1分ほどかな。
これだけでは、至って省力化されました。
保健所はこの4人について全く関与しないので、当院だけではなく、保健所の負担がずいぶん軽減されました。
その点では、目的通りですし、良かったことなのでしょう。

でも、気になることがあります。
療養期間の指示(発症の翌日から1週間)は、医院が行わなくてはいけません。
家族などの濃厚接触者の特定、その人たちの療養期間の説明は、誰の仕事?
これまでは保健所や行政が行なってきたことです。
それがなくなるので、やはり医療機関がその場で「丁寧に説明」(最近の流行語?)する必要がありそうです。

これまでのコロナ対応の中で、患者への対応が不十分な面が多々ありました。
これもまた行政は、軽症陽性者を見放すことになりはしないか、心配です。
新たな「棄民」になる要素を含んでいるので、気をつけて見ていく必要があります。

担当していた看護師に話を聞くと、説明する時間も労力もこれまで以上にかかったとのこと。
流行のピークが過ぎているので、まだ十分にできていますが、これでまた新しい流行が始まったら、対応できなくなるかも。

そんな不安を抱えながらのスタートになりました。

それにしても、新型コロナに注意しながらの外来はまだ続きます。
トリアージや検査も、これまで同様に継続していくことになるでしょう。
今回の制度変更は、いわば手続きといった行政面のこと。
本来のコロナに対する医療のあり方について、きちんと考えて対応してほしいものです。
それと、変更すべきは迅速に行なってほしいし、現場の意見をしっかり聞き、それを踏まえてバージョンアップしてほしいですね。