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院長ブログ

風邪が5類に

先日、厚労省が「急性呼吸器感染症」を5類とすることにしました。実施は来年4月からとのこと。

これによって診療の方針も変わりませんし、診療費も変わりがありません。一般の方が心配することは何もありません。

問題になるのは、それを報告する私たちです。

今、「感染症発生動向調査(小児科定点)」を実施しています。全国で約5,000件の、主に小児科から毎週の報告をしています。都道府県に報告し、それが全国集計になって、翌週の後半に公表されます。

報告すべき感染症が水痘、手足口病など12個。この中に、今話題になっているインフルエンザや新型コロナが含まれます。

この報告も、結構手間がかかっています。年齢区分が14に分かれ、さらに男女別に報告を求めています。そんなに分ける必要があるのかな??

県や厚労省の発表では、総数については発表がありますが、細かい年齢区分に沿った発表はありません。まして、男女別の発表など、見たことがありません。

かつて新型コロナの流行が始まった頃、詳細な患者記録の提出を求められました。その報告も大変だったし、それを受ける保健所がパンクして大変なことになっていました。そして、その詳細な報告がどこに生かされたのか、分かりません。

それと同じことを、今でも起こしています。そこに「急性呼吸器感染症」が加わります。さて?

咳、鼻水、喉の痛みがあれば報告することになります。それって「風邪」も全て報告するってことです。ここが問題になっているところです。

今でも随分と手間がかかっているのに、「風邪」の報告をすることになります。1日の診療の大半は、いわゆる風邪。その数は、多いと100名を超えるでしょう。

毎日、数十もの「風邪」患者を年齢、性別に分けて報告する・・想像を絶するものがあります。

しかも、直接には利用されない。何年もその経過を見ている中で、特異な動きがあれば検出されることもあるでしょう(ないこともあります)。その程度の利用に、このシステムを利用するのは、無駄なことです。私たちにとってはブルシットジョブそのものです!

厚労省がパブリックコメントを求めたところ、約3万の意見が集まったそうです。そして、その大半が反対する趣旨だそうです。

それでも厚労省は「急性呼吸器感染症」を5類に含めようとしています。一度決まったことは変更しない・・まるで太平洋戦争当時の日本軍と同じです。

私のところでは一応今のままやってみますが、あまりに作業が大変であれば、辞めてしまおうかな、とも考えています。さて、どうなることやら。